「IRATA(アイラタ)」 | 消防設備士かく語りき

消防設備士かく語りき

川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

本日もロープ高所作業関連のことを書かせて頂きたい。

 

何だか最近は本業である消防設備士のことよりもロープ作業についての記事が大分増えてしまっている。

 

例えば仕事の割合が「50:50」くらいであれば話は別だが、しかし現状、消防設備業とロープ作業の割合は「97:3」くらい。

それを思えばいささか自分でも「偏り過ぎている」と思う部分も確かにある。

 

ただ消防設備業については19年間に及ぶ経験の中で培った見識、そして独立からも10年が経過し、一先ずの経営基盤を構築するに至った。

 

一方のロープ高所作業については何せ去年の11月に開始したばかりで、それこそ「素人に毛が生えたレベル」でしかない。

その道のプロも知らず、何もかもが手探りな状態である。

 

そうした状況の中、こうして日々「ブログ」という形で記事にしてゆくことで、あるいはその道のプロと出会う機会に恵まれるかも知れない。

情報発信も一つの行動であるし「今一番力を入れていること」については積極的にブログで触れていくべきだとも思うのだ。

 

そもそも消防設備業を通じて今こうした作業に携わる機会を得たのだから、消防設備業とロープ高所作業は決して無関係のものではない、と考えている。

 

「ロープ高所作業」そのものが日本ではまだまだ馴染みの薄い手法であり、また認知度も低い。

こうした情報発信を通じ、少しでも世の中への認知が広まることで注目もされ、業界の発展、更にはその技術を持つ者たちへの社会的需要も増すのではないか。

 

私が知る限り、少なくとも消防設備会社の中に「ロープ高所作業」を日常的な業務として行えるだけの会社は存在しない。

だからこそ今後の取り組み次第ではある種の「先駆者」と成り得るだけの可能性さえも秘めている。

 

 

ここで改めてロープ高所作業を行う上での「資格」について触れておきたい。

端的に言って日本でこの作業を行う上で必要なのは「ロープ高所作業特別教育」の受講のみである。

厳密に言うと「フルハーネス特別教育」の受講も必要だが、しかしいずれにせよ「特別教育」である。

 

ハッキリ言って特別教育は「資格」とは言えない。

あくまでも「規定に基づいた教育を各事業者単位で行って下さいね」ということに過ぎない。

だから「ちゃんと指導しました」と会社の代表者が言い、それらしい証明書を自作すれば明日から作業に従事出来てしまう。

 

ただ「そこまでするのが面倒だから」従業員を何処かの団体が主催する講習に参加させている部分も少なからずあるだろう。

 

だがロープ作業先進国のヨーロッパは違う。

一定の技術水準の指標を定め、それに基づいた技術者としてのライセンスを3段階のレベルに分けて発行している。(通称・IRATA(アイラタ))

 

しかも3年毎の更新制で、その更新も数日間に及ぶ技術確認を経て、初めて更新が認められる。

もはや日本とは雲泥の差である。

 

日本ではあらゆる資格の更新が精々1日の講習受講で済むが、それを思うとヨーロッパのロープ作業者の資格はいささか「難し過ぎる」とも言える。

だがそれは取りも直さず、やはりロープによる高所作業には「それだけの危険性もある」ということに他ならない。

 

考えれば当たり前のことである。

自身の命をたった1本のロープに託すのだから。

しかしそれだけにヨーロッパ基準のIRATAのライセンスはロープ高所作業を行う上で「確かな技術者の証明」には成り得る。

 

また近い将来必ず日本でも今以上の基準に基づいた資格制度に移行すると私は見ている。

その時、日本でも一定数存在しているIRATAのライセンスを持つ者たちの存在を無視は出来ないはずだ。

 

今、これを取得しておけば今後もロープ高所作業を行っていく上での更なる基盤構築の一助にはなるのではないのかと。

私自身は既に実践の中で相応の安全性を担保するだけのセッティング技術を身に付け、また降下作業自体は割とすんなり出来るまでに至った。

 

だが従業員にこれを教えるだけの時間的ゆとりが今は持てない現実がある。

そこで考えたのは従業員の中から1名、このIRATAの資格を取らせることである。

前述した様に日本にもIRATAのライセンスを持つ技術者は存在しており、その中にはIRATA公認のインストラクターも僅かながらいる。

 

そうした人々から学ぶことで各レベルのIRATAライセンスを取得することは可能で、先ずはヨーロッパ基準の確かな技術を学ばせ、その上で実戦投入させるのがあるいは最良の方法であるとも思うのだ。

 

将来的にロープ高所作業を業務として経営基盤に組み込みたいと考えるのであれば、やはりここは投資を惜しむべきではない。

また現在私が携わる「ロープ高所作業による外壁劣化診断」は特定建築物調査に付随する業務でもある。

 

消防設備点検は専ら国内のメーカーが主軸となり、そこに中小様々な会社がしのぎを削っている状況であるが、一方で日本国内で建築設備検査などを手掛ける会社の中には外資系の「大手」も存在している。

 

もしかしたら今後、提携する建築士事務所を経由してそうした会社の業務を行う際、IRATA認定のライセンス所持者の存在が確かな信用に繋がり、ひいては業務の裾野を広げるきっかけなるかも知れない。

 

受講費用は約20万、そして6日間にも及ぶ長い講習。

正直、負担はあまりにも大きい。

がしかし、それでも尚「参加させるメリット」の方が大きいと判断した。

 

よし、タケを行かせてみよう。

 

 

男女点検スタッフ募集!!