「恐怖感に打ち勝つ」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

 

 

晴天となった本日、私は1人、関東某地域の小学校にて行われる建築設備&特定建築物調査の応援業務。

 

そして本日も私の担当はこのシリーズとしては3回目となるロープ高所作業による外壁劣化調査。

と言っても全ての外壁が対象ではなく、基本的に窓などのない壁が中心。

 

本日の現場、計4面ほどがその打診調査の対象であったのだが、本日最初の外壁は割とオーソドックスな造りで、また今日でロープ作業も3回目ということもあり割りとすんなり終了。

 

がしかし、2つ目の外壁が過去一で手強かった。

その壁面はこの案件の大元請である建設業者からも「是非ロープ降下による打診を」と念を押されていた箇所。

 

だがその壁というのが屋上の更に上。

普通では上がることが出来ず、屋上の片隅に6尺の脚立を立て無理やり上がる様な場所。

 

そもそも人が上がることなど想定すらしていない場所だけに、柵なども一切無し。

通常のマンションであれば6~7階のベランダくらいには相当する高さと思われるが、もはやその場所に立つだけで恥ずかしながら足がすくんでしまう

 

正直、あまりにも恐怖感が大きく「この面はやらなくても良いかな…?」くらいに思った自分。

だが「これを克服せずしてロープ作業のプロになどなれない! やらなければ…!」と己を心の中でひたすら鼓舞する。

 

今回の検査業務の指揮役である建築士の方も地上を覗き込むなり「うひゃぁぁ… 高い…!」と思わず心の声が漏れて来る。

真下にある屋上出入口のコンクリート製の「庇」の部分を短いロープで囲む様に回し、そこにメインロープとライフラインを接続。

 

ここまで事故無し(ありゃ死んでるが)でやってきた自分のロープ接続の技術を信じ、後はイタリア製の下降機に全てを託しいざ降下開始。

 

 

 

 

 

案の定、下降機のブレーキ機能で身体が一旦宙に浮いてしまえば怖さは一気に半減。

とは言え、マンション6~7階相当の高さから屋外に身を放り出す瞬間の怖さと言ったら大袈裟でなく気を失いそうになる。

 

その恐怖感たるや、今まで消防設備士として働いてきた18年間では1度も味わったことが無いもの。

やる前、やっている最中、そして終了後、心臓の鼓動は普段の2.5倍の強さと速さを維持し続けていた。

 

自分で言うのも嫌いじゃないが、今日の壁が出来たのなら、もはや大抵の壁は降下出来る気がする。

それくらい、本当に、ホントぉ~~~に、今日の外壁降下は尋常でなく怖かった。

 

肉体的な疲労感もさることながら(降下にも何気に体力を使う)、しかしそんなものとは比較にならない程の精神的疲労が大きかった

今までの人生で体感してきた高所への恐怖感を軽く上回る量の恐怖感を今日1日だけで体感した、とでも言おうか。

 

「高い所は平気です♪」と軽く言う方も多いが、単に「下を覗き込む」のと、「その空間に身体を放り出す」のとではその恐怖感はまるで比較にならない。

過去2回は恐怖感を感じつつも「楽しい」という気持ちの方が勝ったが、しかし本日はトータル的に「85:15」で圧倒的に恐怖感が勝った。

 

数時間が経過した今でも心臓の鼓動はまだいくらか強い。

だが「やり切った」という満足感も確かにあり、また何より己の中の恐怖感に打ち勝ったこと、それが誇らしい。

 

このロープ高所作業、まだまだ未熟な私であるが、一方で確かに日々の成長も感じている。

「超一流」になるのは難しいかも知れない。

がしかし、一流にはきっとなれる… なってみせる。

 

そう己の心に誓いながら帰りのハンドルを握るわたし代表村田であった。