【原始反射について】


原始反射とは、大脳からの指示がないままに、外からの刺激で無意識的に特定の筋肉が動くことです。


新生児にはいくつかの原始反射が見られます。


原始反射の働きとしては大きく2つあり、1つ目は生きるための働き、2つ目は赤ちゃんが適切に安全に成長するのを助けるというものです。


原始反射は、お母さんの胎内にいる頃に出現して、生まれた頃から機能し、
中脳や大脳皮質など脳が成熟するにつれて消失すると言われています。

平均的な赤ちゃんだと3~4か月ごろに消失する反射も見られてきます。
中には1~2歳まで続く原始反射もあります。



原始反射は、赤ちゃんの中枢神経の発達をみるためにとても重要なもので、脳と脊髄がきちんと連携をとれているか確認することを目的としています。


原始反射は赤ちゃんが成長につれ消えていくものですが、赤ちゃんの異常を早く知るためにも重要な役割があります。



●歩行反射
(出現:出生時 消失:1か月)
∟赤ちゃんを足が床につくようにして立たせた体勢で支えると、歩くように交互に足を動かす原始反射です。



●手掌把握反射
(出現:出生時 消失:3~4か月)
 何かが赤ちゃんの手の平を触ると、掴むように赤ちゃんがぎゅっと手を握る原始反射です。

この反射が消失した後、物を掴めるようになります。

手掌把握反射が見られない場合、脳の障害や上部脊椎に異常がある可能性があります。

この原始反射は、1か月と3か月の健診の確認項目の中に入っているので、不安に感じたら相談してみましょう。



●足底把握反射
(出現:出生時 消失:9~10か月)
 赤ちゃんの足の裏の親指の付け根にあるふくらみを親指で押すと、全ての足の指が内側に曲がる原始反射です。

この反射が消失した後、すぐにではありませんが立って歩くことができるようになります。



●非対称性緊張性頸反射

(出現:出生時 消失:3~4か月)

∟赤ちゃんのをあおむけに寝かせた状態で頭を片方に向けると、向けられた方の腕が伸び、反対の腕は曲がる原始反射です。
この反射は赤ちゃんの自然な動きの中で観察できるので気を付けて見てみましょう。
この反射が消失した後、寝返りがうてるようになります。




●モロー反射
(出現:出生時 消失:3~4か月)
∟寝かせた赤ちゃんの頭部を持ち上げて後方へ落下させると、ビクッとして両手を広げ、何かに抱きつくような動きをする原始反射です。

モロー反射という名前は、オーストリアの小児科医エルンスト・モローがこの反射を発見したことから名づけられました。

モロー反射が4か月を過ぎても持続する場合、運動発達を疑うことがあるので、いつまでもこの原始反射が消えない場合は医師や保健師に相談しましょう。




●探索反射
(出現:出生時 消失:4~6か月)
∟あおむけに寝かせている赤ちゃんの頬や口周りに何かが触れると、それを口で捉えようとする原始反射です。
生まれてすぐに母乳を飲むための反射であるといわれます。

まれに、触れた方と反対の方に赤ちゃんの頭が向いてしまう場合があります。

そのような場合、運動神経などの中枢神経または脳の機能に異常がある可能性があるため、注意が必要です。




●吸啜(きゅうてつ)反射
(出現:出生時 消失:4~6か月)
∟赤ちゃんが口に入ったものを規則的に吸う原始反射をいいます。
哺乳類であれば、乳を飲むため生まれながらに備わっています。

この吸啜反射があることで赤ちゃんはお母さんのおっぱいを吸うことができるので、とても大事な反射となっています。




●ギャラン反射
(出現:出生時 消失:5~7か月)
∟赤ちゃんをうつ伏せ状態で抱き上げ、背骨の片側をなぞると、なぞった方に下半身を曲げる原始反射です。





バビンスキー反射
(出現:出生時 消失:1~2歳)
赤ちゃんの足の裏の外側を踵から足のつま先にかけて刺激すると、親指が反り、他の足の指が扇状に開く原始反射をいいます。

フランス人医師のジョゼフ・バビンスキーが発見した反射なので、日本ではバビンスキー徴候と呼ばれています。

バビンスキー反射に関しては、2歳以降も見られる場合は人が自分の意思で行う運動を司る神経の通り道(錐体路)が障害されることで生じる錐体路障害が疑われます。

一般的な原始反射が赤ちゃんの身を守るものであったり、生きていく上で必要なものであるのに対し、バビンスキー徴候にはそのような役割はありません。

赤ちゃんが小さいうちはこの反射が出ていてもあまり気にすることはありませんが、2歳を過ぎてもこの反射が出ている場合は早めに医師などに相談しましょう。





●緊張性迷路反射
(出現:出生時 消失:4か月~3歳)
∟赤ちゃんの頭を前後に傾けたときに、身体や手足が曲がる原始反射です。