合唱 | h

h

h

飛行機に搭乗したところだった。

こちらにわざと聞こえるようにして陰口言ってくる女性陣がいる。

自分の席は隣の車両だったので一度は通り過ぎたけど

腹が立って仕方なく、彼女らの車両まで引き返した。

ちょっと離れたところから「ばーか!ばーか!」と罵った。

そして自分の車両に戻り、思い直した。

また隣の車両に行って、彼女たちに謝罪。ただし毅然とした態度で。

あいつら、狼狽えていた。自分の勝ちだ。

 

飛行機に搭乗したら離陸前に合唱するのがルール。

まずは前方の裁判官席に、裁判長とお連れの人が入って来る。

・・・起立するタイミングを失した。

裁判だったら裁判官が入廷した時に全員起立するけど

合唱だから、起立は歌う直前だと思って座ったままでいた。

後ろの席の人たちが既に起立していることに気づき慌てた。

 

そうして始まった合唱。

全く知らない歌。知らないメロディ。知らない歌詞。英語。

鼻歌でなんとか合わせてみようと少し声を出してみた。

全然合わない上、予想外に大きな声が出てしまい反省。

 

離陸前に歌われる曲は決まっているはずだった。

手元のリストに曲目が記載されている。

「Tomorrow」「Hallelujah」「Crystal Friday」

3曲とも英語詞。学校の皆で練習してきた。

練習してきたのに!緊張して構えてたのに!なんで違う曲!

 

知らない歌の合唱はまだ続いている。

マイクを持ったアメリカ人がやって来る。

我ら日本人の一団にマイクを向け、

どうして歌わないんだと、大きな声で歌えと、言ってくる。

「I don't KNOW this song!」

元気いっぱい、笑顔で答えてやった。

KNOWを強調して言った。大文字のKNOWが見えた。

 

次の曲が始まる。「歓びの歌」だ。

これなら知ってる!歌える!

中学の時に習ったカタカナドイツ語で歌う。

裏声で出だしから勢いよく、全力全開「フロイ!!!」

調子よく歌っていた。全体の合唱も最高潮の盛り上がり。

と、その時、裁判官達の背後にあった壁が消失。

飛行機の隣の車両と繋がった。

隣の車両にも大勢の人が乗っていて合唱していた。

「歓びの歌」、大迫力の大合唱!良い気分!