堀川惠子著「戦禍に生きた演劇人たち」を読んだ。
演劇と政治が密接に関わっていた時代。東宝映画に出演するということはイコール戦争に賛成するということ、と解釈される時代。今では考えられない話だけど、そういう時代が確かにあった。その時代に演劇に魅せられ、のめり込んでいった演劇人たちの苦悩。悩んだ末に歩き始めたその先に待っていたのは戦争の惨劇。あれだけ政治や戦争に抗っていた人たちが、その戦争の犠牲になった。あまりにも報われない。
ただ、「少年劇団」の高山象三、川村禾門と恋文を交わした森下彰子のように、亡くなった桜隊の9人にも楽しい時代があったはずだということも記憶に留めておきたい。