歌舞伎レポ!『与話情浮名横櫛 源氏店』 | ひかるの歌舞伎雑記帳

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この度「歌舞伎」と出会いまして。
自分用の勉強ノートとして、超超初心者目線で観劇レポや役者さんについて気まぐれに吐き出していこうかと。
ほぼほぼ壁打ち。
イラストもけっこう載せます。ヘタクソだけど生あたたかい目で見てくれ。
まだまだ勉強中…

こんにちわ!ちょうちょ
ひかるです。


今日は『与話情浮名横櫛 源氏店』(よわなさけうきなのよこぐし げんじだな)のレポです!
前回の吉野山とは違って歌や踊りじゃなくてって感じの演目でした。
吉野山は藤太はたくさんしゃべってくれたんだけど、踊りがメインだったから

猿之助と七之助の声をほとんど聞けなくて。
でも今回はのっけから演者さんたちがガンガンしゃべってくれて
それだけで楽しかった!笑
そして前の方の席だったから道具をカチャカチャする音までハッキリ聞こえて
何この臨場感…!」と、またもや変なところで感動したなぁ。

これはそんなに長いお話じゃないから、お話の全体像と合わせながらレポを挟む感じで

いこうかな!






絵看板はこれ。
立ってる方の男性は、右ほっぺにコウモリの入れ墨を入れてる蝙蝠安っていう人なんだけど、

彼の絵にはちゃんとコウモリが描かれてるね!

バットマンみたいでカッコいいよね。
昔の日本にもいたんだな〜
ちなみに私の地元は田舎なので夜になるとバタバタコウモリさん飛んでます。
みなさん元気です。



星
今回の相関図。

 





『与話情浮名横櫛』って通称『お富与三郎(おとみよさぶろう)』とか『切られ与三(よさ)』って

呼ばれてるらしい。
世話物(せわもの)というジャンルの代表的な演目で、
世話物っていうのはその時代の生活、人情、風俗などをテーマにしたもののこと。
町人社会だったり世相風俗を扱ったものだったり、町のどこにでもいる大工さんや魚屋さん、

遊女などなどいろんな人が出てくるのが特徴だそう!
比較的身近なものがテーマになってるものが多いってことだね~



星
今回の『源氏店』の前提のとして、与三くんとお富は海で出会って恋愛関係になるんだけど、

それは身分的に許されない恋だったのね。

んでバレてお互い死のうってなるんだけど与三くんは捕まっちゃってボコボコにされ、

お富は死にかけてたところを助けられて多左衛門に面倒を見てもらうことに。

そうやって二人が別れてから3年ほど経った頃、というていでお話が始まります。

 

 

お芝居は、お富が雨宿りしてた藤八を部屋の中に入れてあげたあとのシーンから。
お風呂屋さんから帰ってきたお富は、下心丸出しの藤八をあしらって暇を潰してる。



これ見てる分には面白かったんだけど、冷静に考えると

藤八は自分の上司的な人の愛人さんを口説こうとしてるんだから

割と図々しいし度胸あるよねww

藤八お富の気を引きたくて、「僕も白粉好きなんだー!塗らせてよ!」つって

お化粧始めるの。

「はぁ〜?」って言ってたお富だけど、退屈だったし遊んでやるかって

藤八に付き合うんだよね。
「白粉塗れたよ!」って藤八が言ったら、「口紅も塗りなさいよ」ってお富が悪ノリ。笑

 

そしたら…





なんと、口紅の筆が伸びたの!!!!!ww

 

ここ、おそらく本来お富が口紅を塗ってあげるっていう演出っぽいんだけど、

この状況なんでってことで普通の15センチくらいの筆を5倍くらいに伸ばしたのです。

ビックリしたよ!!!

まさか小道具までコロナ仕様にしてるとは…!!!

役者魂舐めちゃダメだね。小道具一つで全力で笑いを取ってくるんだもん。

お客さんみんな「!?」ってなってたよww

 

もちろん化粧なんてしたことない藤八の顔は案の定ぐっちゃぐちゃ。

とっても微笑ましいかわいいシーンだった。


藤八を演じた片岡亀蔵さんは声がすっごく大きくてめちゃくちゃ聞きやすかった!
白粉塗ってなかったからか表情の変化もよく見えて、こことちょっと後に

少ししか出なかったんだけど一瞬でファンになりました(笑)
藤八のキャラクターがかわいすぎる・・・!!

 


キャッキャしてるところで部屋の外にいたのは、蝙蝠安と顔を隠した傷だらけの男。
楽しげな雰囲気に不穏な空気が流れます。



突然のゆすりにも動揺せず、「オレに任せろ!」と言わんばかりにお富の前に出て

お金を投げ捨てた藤八だったけど、あまりにも少なかったらしくその場はシーーーンと

静まりかえります。

それを見かねてお富は改めてお金を渡したんだけど、顔を隠した男は帰ろうとしない。

しかも自分の名前知ってる!

誰だ〜…?

 



3年前に心中したはずの恋人、与三郎だった。

突然の再会に声も出ないお富

今まで黙ってた分、一度口を開くと止まらなくなっちゃった与三くん。

 


「与三さん」って愛称で呼ぶの仲良し感あるねピンクハート

この辺は与三くんが一方的にお富に文句たれてたんだけど、
幸四郎さんいわく悪態つくのは喜びの裏返しなだけで、ほんとうは与三くん、お富に会えて

とっても嬉しいらしい。
でも自分は彼女のためにこんなに傷だらけになったのに、当の本人は他の男のところでのんきに

暮らしてたもんだから、嫉妬とかあったんだろうね、本心じゃないこと言っちゃうの。
ツンデレかな?かわいいね。

お富を演じてた児太郎さん、お富与三くんに会えて嬉しいはずなのに、自分だけたまたま

生き延びてぬくぬく暮らしてることに対して罪悪感が出てきて、
そういうことへの焦燥感とか動揺といった心の変化を丁寧に、でも分かりやすく表現されてる

なぁと感じた。

与三くんの言うことに言い返せないお富だったけど、そんなところへ主の多左衛門が帰宅。
この人が香川照之さん、もとい市川中車さんだったんだけど、登場時の拍手が大きくて

びっくりした!やっぱりよくテレビ出てる分歌舞伎役者としても人気なのかな!?と

改めて認識。
半沢の大和田さん(スーツ)とかカマキリ先生(全身タイツ)のイメージがめちゃくちゃ強いので
和服姿が新鮮でした!笑


主の登場にビビる蝙蝠安
はともかく他に知らない男がいたので与三郎のことをお富に誰だと聞く多左衛門

 

心中した元カレです!と言えるはずもないお富。一応多左衛門の妾という関係であるので。

その様子を見て、すべてを悟った多左衛門は、お金あげるから出ていくよう促す。

お金を受け取って家を出たあと、分け前をどうするかで揉める与三くん。
残されたお富は何か言いたげ。
でも忙しい多左衛門はお仕事の迎えが来たので、
臍の緒書(ほぞのおがき)をお富に渡して家を出る。
そこに書かれていたのは、多左衛門お富実の兄妹だったという衝撃的な内容だった。

さっきのやり取りでお富与三くんのことを「兄です」って取り繕ったときに、
多左衛門は嘘だって分かってるんだよね~。二人が元々恋人同士だったんだろうってことも。
ん?え!!待って!?
てことはさ、じゃあお店開けるほどの大金を与三くんにあげて、お富にも自分たちは
兄妹だってことを伝えたってことは、「これで二人で暮らしなさい」っていう意味だった

のかな!?
わあ!書いてる今気づいたよww
最初は「あ~こいつらガラ悪いから早く帰って欲しかったのか~」っていう解釈だったんだけど、
何度かストーリー読み返したらそんな気がしてきた・・・!!!
うっわ、何で気づかなかったんだ。読解力なさすぎでは???
なるほどね~…いい人じゃん多左衛門さん。
中車さんテレビでは何かと悪者の役多いからなんだかこれも新鮮。笑

あ、臍の緒書っていうのは以下の通り。

 


 

臍の緒を保管するのってこんなに昔からあった習慣だったんだねー!


そしてそして、こっそり戻ってきた与三くんに、お富がその事実を告げると、
二人は喜んで抱き…合わず、手ぬぐいの端と端を持って見つめ合うのだった。



ここももちろんコロナ仕様。笑
通常は抱き合ったり手を握り合って終わるみたいなんだけど、私が見たのは、二人が向き合って

ハッとした顔して、与三くんがおもむろに手ぬぐい出したと思ったらそれをお富に投げて、

間接的、精神的に抱き合うみたいな演出だった。
それまでけっこう真面目な雰囲気で観客の人たちも静かに成り行きを見守ってる感じだった

んだけど、ラストはさすがに吹き出してたなぁ。

通常はキレイに終わるんだろうね。
ある意味こんな演出今じゃないと見られないのかも…って考えると逆にレアかもしれない!ww

でもさ、演者さんも試行錯誤しながらやってるってお話ししてたし、
本当はいつもの距離で、いつもの流れでやりたいんだろうな。

満員の席で見てもらいたいんだろうな。
早く「いつも」が戻ってくるといいね。


ともあれ、お話はハッピーエンドで終わったのでした!
めでたしめでたし。



星
お話はこんな感じの内容でした。
あのね、今回どうしても言いたいことが。

私記事書くときとか歌舞伎座で公演予定見てるとき、お話の全体像を把握するにここのサイト

よく見させてもらってるんだけど、

https://www.kabuki.ne.jp 

藤八のキャラクター説明が面白すぎて…!

相関図にも書いたんだけどさ、『渡す金額が少なすぎて話をややこしくしてしまう

って何!?ww
たしかにね?説明した通りお芝居見てるとき藤八もお金は渡してたの、お富たちの間に

割り込んでさ。
でも与三くんも拾わないわけよ。
当初はここまでちゃんと調べてなかったし、歌舞伎美人(https://www.kabuki-bito.jp )の

「みどころ」にもパンフレットにも藤八についてここまで詳しく書いてなかったから、
「あの人が投げたお金なんでみんな無視するんだろう?」と思ってたの。
そしたらそういうことだったのね…って今回詳しく調べて分かった。
お芝居見てる時はそこまで読み取れなかったのでちょっと悔しい。
いやでもめっちゃかわいいやん。そういうキャラすごく好き。
以上がどうしても言いたかったこと。ww

私の推しは藤八です。



お話全体をこうやってみるとけっこう純愛モノって感じもするけど、実際はお富にお金を

無心するくだりがけっこう長かったり、与三くんの登場や退場のときのやりとりも

多かったりして、がいい感じに一人で騒いで動いてっていう場面が多かった。
与三くんとお富が直接対面するところはけっこうあとだった感覚。

あとね、興味深かったことが一つ。
藤八が出てくるのはほとんど最初だけで、たちがきたら一回はけるんだけど、
そのあとまたすぐ出てくるっていう流れだったから舞台袖に行くんじゃなくて舞台上のパネル?

の後ろに丸まって隠れてたんだよね。
今思うとけっこう長い時間だったと思う…腰とか痛くなかったのかな。
内容的にはその場にいても良かったんじゃないかなーと思ったんだけど、なんでわざわざ

隠れたんだろう?
うーん、なんか意味があるんだろうなぁ。
今、誰の視点となってるのか分かりやすくするために、舞台に立つ人はできるだけ少なくする

とか…?
うーん、分からん。
ちっちゃいことなんだけどなんだか気になるぼくでした。



星
今回面白いな~と感じたのは、歌舞伎のお話って意外と単純なんだなってこと。
もちろん悪い意味じゃなくて、歌舞伎の内容って江戸時代とかそれ以前の時代のお話じゃん。
言葉ももちろんそうだけど、それに伴って登場人物の心理描写とかを読み取るのって
難しかったりするんだろうか、とは思ってたのね。
武士の世界とかよく分からんし歴史もニガテだし。
でも、こうやってみるとけっこうなんてことない内容だったりするのよね。
まぁお話によってはさ、ごちゃごちゃしたものもあるんだろうけど。
あんまり難しく考えなくていいものもあるんだなーと。

あーでも前回の吉野山みたいな舞踊モノはちとその辺は読み取りづらいのかな?
踊りだから言葉での表現はなくて、それこそ時代背景とか人間関係、それまでのいきさつを
把握してたほうがお話としては分かるのかな~。
まあ義経千本桜は長編で視点になる人物も変わるから余計なのかもしれないけど。
『吉野山』だけを見るとって意味ね。
日本語難しいでつ。
あでも舞踊でありながらけっこうセリフ言ったりするのもあるなぁ。
歌舞伎難しいでつ。

ただ、そういう意味で言ったら、『棒しばり』のお三方はキャラクターの心の動きを
はちゃめちゃに分かりやすく、面白おかしく表現されてて。
勘九郎さんなんて同じセリフなのに毎回違うテンションで言ったりしてて感動したなぁ。
しかも踊りながら飛び跳ねながら縛られながら!
『棒しばり』すっごく面白かった。
この辺はまた今度詳しくお話しするね。



星
ここまで読んでくれてありがとーです!

今回は比較的短いお話だったからいろいろ挟みながら書けたな〜。
お話自体も読めば読むほどキャラクターたちのことが好きになっていったし、

与三くんとお富の関係、距離感もすごーく好き!
二人が出会うお話いつか見たいな。


次回のレポは『連獅子』です。
らぶりん登場!
よろしくネッ❤️


あ!それと先日、幸四郎さんと猿之助の『色彩間苅豆』見てきました〜!
ラストの10分で猿之助に殺された。
また後日詳しくレポ書きまーす照れ照れ