
静岡市・焼津市のプロ養成と既プロの為のお教室
「相澤ひかるミュージカル・ボーカル教室」です

アラジンの実写映画の公開を記念して、
地上波にて美女と野獣の実写(吹き替え)が放送されました。
映画やアニメなどの吹き替えは、シーンに登場する全員で録音することがない場合もあり(個々に録音したものを合成してゆく)、セリフの成立は監督(演出)などがチェックしていると思いますが、この美女と野獣はいくつか成立していないと思われる部分があり気になってしまったので、抜き出してみました。
エネルギー、空気、リアクション・アクション、ベクトルと距離感・・・
特別レッスンの中でよく言われる「成立していない」「今は成立していた」がよくわからない方は必見です。
1、野獣が初めて食事に誘ったが断られ、怒って帰った後のシーン。ルミエール(燭台)とコグスワース(時計)の会話。
コグ「せっかくご主人様を叱ろうと思ったのにのう」
ルミ「おお戻りですか、ご主人さま」
コグ「ええええええ(驚いて物をはげしく落とす)」
ルミ「えへへへ」
コグ「わらうな」
「お戻りですか」のセリフは、意地悪をしてコグスワースを驚かせる意味合いがありますよね。でも、ただセリフを言っているだけで驚かそうとしていない。それに対して、コグスワースの声と絵は過剰に驚いているのでこのシーンが不自然に見えました。エネルギーが噛み合っていないことも感じることができると思います。
2、1のすぐ後、ポット夫人のセリフ
「まあ、綺麗なお嬢さんね。お知り合いになれて本当に嬉しいわ。ああきっと長い旅になるわ。帰る前に元気をつけなくっちゃ。あたし気がついたの。大抵の悩みはお茶を飲めば軽くなるものだって。気をつけてね、チップ。」
この長セリフは、ポット夫人自身の中で成立していないと思われます。
「ああきっと長い旅になるわ。帰る前に元気をつけなくっちゃ。」
この部分は誰に言っているの?自分?美女?チップ?
ひとりごとだとしたら、「帰る前に」の前に心の中で「このこが」が入ると思いますし「元気をつけさせなくっちゃ」となると思います。美女に言うのなら、しっかり美女に向かって言うのが成立だと思います。
私がこのセリフをいただいたら後者で言うと思います。こんな綺麗なお嬢さんが野獣に優しくするなんて・・・また、魔法が解けてこのお嬢さんが家に帰れるようになるまで、どれだけ時間(気力も)がかかるでしょう?と思いますからね。この役者さんはあまり考えずに言ってしまったのでしょうかね。感情に確信のないセリフは誤解を与えてしまう可能性もあります。だからセリフはあやふやに言わないこと。
あともう一箇所、美女のセリフで気になった部分がありましたが、聞き逃してしまったようです。みつけたら追記します。
たとえ小さなシーンでも、関係性や感情が途切れてしまうと、見ている方はせっかく感情移入していたのに現実に引き戻され白けてしまいますよね。
成立させること。
これは大人、キッズともに必須技術です。
セリフのテンポ(この場合は早いテンポのことをいう)が良ければ成立しているか、という問題ですが、子供がたくさん出演するミュージカルしかり、全く成立していないまま早いテンポでセリフが進むと、関係性や感情が全く伝わらないという状況になり、出演者だけが楽しいお芝居、観客は置いていかれるというものになってしまいます。これでは意味がないですよね。
歌も同じですが、まずはゆっくりとしたテンポで練習しましょう。『間(休符)』をどう生きる(歌うか)か、相手と(自分のなかで)どう成立させてゆくかを練習し、成立するようになってから早いテンポで相手(自分)と繋いでゆきましょう。成立し続けてゆく、ということです。
頭で考えていても、できるようにはなりません。録音自主練をしたあと、特別レッスンで試しましょう!
今月の特別レッスンの課題は、エントリー者に今週中にお渡しいたします!

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