いつか、この国の人の魂の叫びが理解されるようになって欲しい。願いと祈りを込めて。輝子さんが説くこの書の中ではいくらでも弱音を吐いて構いません。いくらでも甘えて下さい。そしてボロボロと悔し涙を流していい。人にはそういう環境が一つあればいい。ここは男も女も年齢も関係ない。その代わり、公の場では飛び切りの笑顔で振る舞うのです。

 どういう訳だか分からないけど輝子さんを含め、精神に疾患を患っている人々の魂からの叫びが世間の人様には受け入れにくい傾向にあります。この難しい人社会で輝子さんはあの夜、大声で泣き叫んだ。家族を含む人々に全身でSOSをぶつけた。だけど叫ぶと近所迷惑だからと怒られ、明日仕事だからと冷たく叱られ、あげくの果てに自ら精神科の門を叩いて入院し、想像を絶する過酷な現場を目の当たりにした。

 精神科に入院した輝子は、大声で泣き叫んで倒れても無視されるだけで、強制的に隔離される患者さんを何人も見てきた。それは輝子さんも例外ではなく、全身の気力を失って叫んで、そこにいる看護師に助けを求めたが無視され、二人の男性看護師に服を引っ張られ、病室に担ぎ込まれた。叫んで暴れると患者さんの気持ちなどは無視で、薬を飲まされ隔離室に入れられる。病室のベットに紐で縛られ鍵をかけられるのだ。精神科とは刑務所同様の扱いを受けるとても過酷なところだ。

 今もこの文面を書きながら胸の奥がドキドキします。だけど今、輝子さんはとても強くなりました。深かった闇から抜け出しました。『人はどうして人ばかりに助けを求めるのだろう。』輝子さんは説きたいと思う。輝子さんはずっと人の心の研究をしてきました。今の輝子さんなら理解することができると思います。あの頃には分からなかったことも今の輝子さんなら分かるようになりました。今のこの病んだ世界に必要なのは輝子さんが見つけた【ナポレオン】です。輝子さんを救った【ナポレオン】です。誠心誠意を込めて輝子さんは魂をこの右手に込めたいと思う。

 一人でも多くの輝子さんが患った同じように今も一人で苦しんでる人々の心が一人でも救われてくれることを願って、輝子さんは伝えていきたいと思う。

 

*輝子さんによる魂の法話。

 看護婦たちのあのときの無視は優しさからだった事に今なら気付いています。厳しさは愛情です。