あかねは、溜息をつきながら、新九朗を見つめた。
「な、なに」
「別に」
あかねは、ぷいっと視線をはずし、床のソファにすわった。
新九朗は、「なんだ一体」という気分を身体全体で示しながら、ビデオをデッキに入れた。本当は、ビデオを眺めている気分ではなかった。何がどうなっているのか判らないままに、自分の部屋のバスルームに女がいる。後輩の女が裸で、想像できない苦痛を抱えてそこにいる。それが気にならない方がどうかしている、と、自分の思考を正当化しながら、なんとなくあかねに講義するような態度であかねの横に座った。
(莫迦…)
あかねは、テレビにビデオが映し出されると新九朗の肩にもたれかかった。
「ん?」
「始まるよ」
「あっ、ああ」
新九朗は、何処か照れるような気持ちのまま、視線をあかねからテレビへと映した。
「古い画像だからね」
「ん?ああ」
テレビには、路上ライブの様子が映されていた。何処かの公園だろうか。噴水を背に、ベンチらしきものに座った男が二人、アコーステッィクビターを弾いているような、そんな感じがあった。見ている人は、既に囲むように座り、拍手が起きているのが音でわかった。
「あれは」
「さすがね、この画像でもわかる?」
「まぁ、な」
男の一人は、一真だった。それも若い頃だ。たぶん、高校生の頃だろう。
*一度消えてしまったので^^;本日分は少なめです
いい感じで書けていたのに、悲しい^^;