空模様…こんなひとつのラヴソング 39 (法子と佳代のコラボレーション7) | 気紛れな心の声

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気がついたこと 不意に感じたこと とりあえず残してみようって^^…最近は小説化しているけれど、私の書き方が上手くなるように感想くださいね

涼子は、三者三様の戸惑いを見せる三人を眺めながら、カクテルを口に運んだ。

このクラブのカクテルは意外といける。お酒の味を楽しみに来る人はすくないので、見えないところでアルコールメーカーが出しているカクテルをそのままグラスに注ぐところも少ないが、ここでは、パフォーマンス込みで魅せる提供をしている。そういう部分では、一真は目立つ存在でもあった。

「あれ、ここでは」

法子は、一真のネームプレートに気付き、カクテルの準備をする一真に声をかけた。

「?」

「一真なんだ」

「ああ、半分くらいのスタッフはファーストネームだぜ」

「そう、(KAZUMA、か)」

法子は、一真の手元を覗き込みながら呟いた。不覚にも『カッコいい』と思ってしまった。おかげで、まっすぐに一真が見れない。きっと、この瞬間だけなのだが、と思いながらも、うるさく高鳴る鼓動に、ドキドキ感を増していた。

「あれあれ?」

「な、なんですか?涼子先輩」

顔を覗き込んでくる涼子に慌てて法子は顔を背けた。

「別に、そんなに勢いよく顔をそむけなくてもいいと思うけど」

「そ、それは」

「何?」

「か、顔が近いから」

「駄目だった?」

「だって、他から見たら」

「こんなことされちゃう?」と、涼子は、不意に法子の唇にキスをした。

「!」

「恋の形は色々よ」

涼子は、クスクスと笑いながら言った。少しの沈黙とウインクをおまけのように載せて。

「涼子さん」

「何よ、一真の癖に」

「癖にって、まぁ、いいですけどね」

一真は、苦笑しながら、カクテル『シンデレラ』を法子と佳代の前に置いた。

「何々?赤くなって可愛い」

「涼子先輩!」

「もう少し肩の力を抜いたら?」

涼子は、真っ赤になりながら睨みつけてくる法子に微笑みかけて言う。

「………」

「恋する魔法は、何処かの悪戯な魔法使いが振りまくものよ、楽しまないとね」

「先輩…」

「こういうところでは、『さん』の方が良いな、別にいつでも『さん』で良いけどね、私的には」

「涼子…さん」

「ん、それの方が親しみが無い?」

「それは、でも」

「硬苦しいのは男どもだけで良いんだけどな、私的には」

ペロッと舌を出しながら涼子はm、法子に微笑みかけた。

「ねぇ、天城、じゃなかった一真」

佳代は、声のトーンを落として一真を呼んだ。

「ん?どっちでもいいよ」

「涼子先輩、じゃない、涼子さん、いつもこんな感じ?」

「そうだね、読めない人だけどね、こうとは限らないかな、世話焼きでやきもち焼きで、自由奔放な天然ボケ」

「天然ボケだけは解るけど」

「言うなら、ネコみたいなものかな…どちらかといえば虎ぽい、かな」と、一真は苦笑した。

(あれ、なんかぎこちない?)

佳代は、一真が何度も手を洗っているのを見ながらふと思った。

「でも、今日は、よい日なんだよ」

涼子は、クスクス笑いながら法子と佳代に声をかけた。

「もう少ししたら、普段見れないものが見れるよ」

「そうなんですか?」

「うん、ね、一真」

「余計な事ばかりですね」と、一真は苦笑しながらこたえた。


「あれ」

佳代は、カウンターから離れる一真を目で追い、呟いた。
19時半。ダンスフロアで、一つのライブがある。そのステージに立つのは一真だった。

「意外?」と、涼子は、佳代の肩に顎を乗せながら尋ねた。

「はい」

「それはそうね、ただの罰ゲームだし」

「罰ゲーム?」

「ん、そうよ、先週ゲーム大会があって、ね」

「一真、負けたんだ」

「そう、そっちも意外?」

「ええ、なんか、なんでも、何事も無かったようにソツ無くしそうですもん、アイツ」

「かも、でも」

「?」

「内緒」

「涼子さん」

「一真にもソツなくこなせないものは結構あるよ」

「へぇ~」

佳代は、ギターの調整を始めた一真を眺めながら答えた。

♪立ちすくむ闇の中で

♪君の声だけが届く

♪周りの声に踊らされ

♪僕を取り囲む壁が厚くなるよ

♪リアルとドラマの狭間で

♪心だけが問いかける

♪ゆ~あ~ろすと?

♪あいめろすと?

♪見つからない迷路の出口

♪僕は立ち尽くすよ

♪差し出された手を掴む勇気が

♪僕には足りなくて

♪その場を動く勇気も欠けている

♪確かにそこにある温もりを

♪僕は知っているのに

♪僕はただ、その場に立ち尽くす