これも恋物語… 第4幕 3 | 気紛れな心の声

気紛れな心の声

気がついたこと 不意に感じたこと とりあえず残してみようって^^…最近は小説化しているけれど、私の書き方が上手くなるように感想くださいね

第1章 第1話

「ただいま」

栞は、答えがでないままに家に帰りつき、娘の真奈美に声をかけた。いつもは帰っている時間なのに娘からの返事が無い。こういう時に行く先は決まっている。そこにいなければ少々心配になるが、莫迦な事はしないと信じている。

自由にしてきた。させてきた。その結果、友達のような関係になれた。それはきっと、特別な事ではない。彼女の事を信じてきた結果ともいえるが、それ以前に、自分の育て方に自信があった。それなりに苦労もしたし、悩みもした。離婚したことで、色々と考える部分もあった。でも、それは事実に付随する思考という迷路に過ぎない。

悩まずに過ごせる日々などきっと存在はしていない。幸せであっても、そうでなくても、そこに考える瞬間は存在する。全く何も考えずに生きていられるほど、人間はでいていない。いや、そんな人間でいたいとも思っていない。自分は自分でしかない。だから、全ての行動の責任は自分にある事を認識すればいい。ただ、そう思うだけで世界は変わった。

ひとつの出会いが、ここまで自分を変えるとは思っていなかった。

ただ側にいる。それだけの事で、感じる幾つもの事が自分を漠然と変えてきた。

思うだけで、全てが変化していく。それは、これからも続くだろう。

きっと、いつまでも貪欲に何かに引かれながら、成長を繰り返していくのだろう。

「せめて…あたしより先には帰っていてよね…」

栞は、苦笑をもらしながら、リビングのテーブルに鞄を置き、携帯電話を取り出した。子供に何かあれば連絡をつけなければいけない相手に電話をする。可能性的に、そこに行っているはずだった。相手も特別な事情が発生していない限り受け入れをしてくれる。だから真奈美は、事ある毎にそこに行っていた。とはいえ、今日いると言う確証はないのだが…。

『はい』

「あっ、あたし…」

『よっ、久しぶりだね…』

「そうね…」

『どれくらいぶりかな…』

「半年以上かな…」

『そんなになるか?』

「うん、あたしの事なんて興味ないでしょ」

『…そうでもないけどな』

電話の向こうで男は苦笑した。確かにその通りだった。別れた妻の事をどうこう言うつもりはない。干渉する事は不自然だし、何よりも自分で望んでこの形になった。今更ながら、捨ててしまった女の事を考える気はなかった。ただ、二人の間に娘が存在している。親権も養育権も栞が持っているとはいえ、男の子供である事に変わりはなかった。

子供には、何も問題がない。だからこそ、子供の事は、極力話し合うようにしている。できることと出来ないことはあるけれど、互いが助け合う事でどうにかなってきた。だからこそ、パートナーとして、真奈美に関するサポーターとして気にしいている。