Wedding 11 | 気紛れな心の声

気紛れな心の声

気がついたこと 不意に感じたこと とりあえず残してみようって^^…最近は小説化しているけれど、私の書き方が上手くなるように感想くださいね

「へぇ~」

光は、クルリと回転しながら周りの様子を見た。不思議なものだ。自分達以外のゲストは存在していない。光と紗智の為だけにスタッフ達は手を止め、ライトアップをしていてくれる。一日に一組だけのシンデレラ城での撮影。それは、ちょっとした宝くじなのかもしれない。

生涯に一度、その約束は、きっと御伽噺を作り出す気持ちに込められた神聖なる誓いなのかもしれない。

「すごいね…」

紗智は、ジョナサンの露出計算を終えると光に声を掛けた。

紗智一人だけのためにWDWでの写真家が撮影をする。

WTCでのテロ以降、アメリカでは、パークでの安全面での警備は異常なまでに高くなっている。世界的に知られるキャラクターの織り成す世界ディズニーパークは、世界中で「しつこい」といいたくなるほどに持ち物検査をしている。そこにフリーパスのような状態で入ることができる許可を受けた写真家は数人しかいない。と、いうよりも、シンデレラ城を中心とした撮影を、パーク開催時間外にできる写真家は二人しかいない。

「OK、はじめましょうか…」

ジョナサンが、日本語で声を掛けた。

「えっ?」

さっきまでの英語での話しかけはなんだったんだろう。光と紗智は、顔を見合わせてクスッと笑った。

「かもん、紗智!」

ジョナサンに声を掛けられ、紗智は、ジョナサンの元へと近付いた。

シンデレラ城から正面ゲート向かうメインストリートに数人の影が現れ、軽快に、リズムよく「こんぐれっちれーしょん!」という声が掛かりだした。ビデオ撮影をしているわけではなく、写真撮影というのもあるのだろう。人懐こい性格がそこにはあった。

光は、振り返り、声のする方を見つめながら「さんきゅ」と声を返した。

(あっ…)

光は、手にしていたビデオカメラを持ちあげて、せっかく声を掛けてくれているところを取ろうと撮影を始めたが気をつかってか、スタッフ達は、笑顔で見ているだけで声を出さなくなった。

(…失敗したな……もう、一回というわけにも行かないか…)

光は、カメラを紗智とジョナサンに向けた。

「かもん、光」

「あっ…はいはい…」

「?」

「……えっと、OK」

「カメラ・・お預かりしますよ…」

新宮は、手を差し出しながら光に言った。

「あっ、お願いします」

光は、会釈を残すと紗智の横へと駆け寄った。

バシャッ!バシャッ!とフラッシュがたかれ「笑ってください」「OK」「こっちみてください」「あっちも見てください」

「微笑んでください」と、次々に注文がだされた。あっという間のシンデレラ城前での撮影、そんな感じだったが、結構な時間を費やされている。

「れっつごう」

「次の場所へ行きますよ」と、新宮は、紗智に手を貸しながら言った。

「次?」

「ええ…幾つか許可を取りながら撮ってくれるみたいですよ…」

「…そうなんだ」

「ええ…」

「でも、どうして?」

「聞いてみましょうか?」

「ええ…よかったら」

新宮は、光に微笑みかけてからジョナサンと話をはじめた。

「予定では、シンデレラ城の中ですけど…メリーゴーランドでの撮影をしてもいいと、スタッフに言われたそうです…それに…7色全てのシンデレラ城前で撮影できたのは、久しぶりで、気持ちよかったから、だ、そうです」

「……7色?」

「めったに取れないそうですよ…彼女の話しでは、過去に1回しか無いって」

「??」

「電気の調整なので、調光が合わないと、色を変えないんですよ…だから、時間外のパークを外から見れたらシンデレラ城を見つめるのもいいかも…」

「…そうしてみます…」


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