あゆみ 3 | 気紛れな心の声

気紛れな心の声

気がついたこと 不意に感じたこと とりあえず残してみようって^^…最近は小説化しているけれど、私の書き方が上手くなるように感想くださいね

優しさって何だろう。

リビングの椅子に座って空を見つめながら健太は思った。

人って、結構いい加減なものだ。自分の置かれている立場によって言う事がすぐに変わる。ご都合主義という奴だろう。そんないい加減な自分は嫌いではない。少なくとも、他人の事を考えて生きています。というやつらよりも素直な自分が好きだった。誰もが、自分が一番大切だ。大切なはずだ……。

ただ、立場によって考え方が変わる。

それだけだ。

昨日までの健太は、自分だけだった。

一晩眠ったくらいでは何も変わらない。だが、生活が一変する状況に追い込まれれば変われるものだ。たぶん…。大切なのは、何だろう。

「おまたせ…健太…」

「ん?」

「はい…ちょっと失敗しちゃった…」

「そっか…」

健太は、少しこげた匂いが花につくトーストを見つめながら麻奈に笑いかけた。

「お口に合うと良いけど…」

「ありがと…」

健太は、麻奈の皿と自分の皿を替えた。気を使って、麻奈は、焦げたトーストを自分の皿に乗せていた。焦げが判らないようにトーストサイズに焼いた薄焼き卵を載せて。それだけで、麻奈の料理の腕前がわかる。少なくとも健太よりは上らしい。

「駄目…」

「こっちの方がおいしそうだ…替えて」

「でも…」

「いいだろ…」

「……う、うん」

強引な健太に仕方なく麻奈は頷いた。家という小さな世界の独裁者、そんなところかもしれない。いや、どちらかといえば侵略者だろう。麻奈は、何処まで健太を認めているのだろう。

少なくとも俺なら…健太は苦笑した。

麻奈は、誰かに頼らなければいけないというわけではない。

法という括りの元で誰かの庇護の下にいなければいけない。だから、大人に媚びなければいけないのかもしれない。いや、そんな気持ちも無いのだろう。生きる、普通の能力としてそれを行っているはずだ。それをただしいとは言い切れない。無論、大人の感覚から見てだ。

(あっ……寂しいよな)

健太は、椅子からおり、床に膝をついて麻奈を見た。

「?」

「なぁ、麻奈…」

「ん?」

「俺は、ここにいても良いのかな?」

「?」

「ここは、麻奈の家だ…俺は、間違いなく麻奈の父親だ…」

「うん」

「でも、俺達は、そんな事を意識していない…急に父親を…」

「わかんない…でも、健太は、パパだよ…」

「………」

「ママがそう言っていたもの…」

「うん…」

「………」

「慌てなくても良いんだよ…麻奈が麻奈のままでいられることが大切なんだ…これから、色々なkとが起きる、その時々に、麻奈の、その双眸で見て、考えて判断して、行動することが一杯出てくると思う、その時、その瞬間で良いから、麻奈は後悔する必要の無い答えを出さなければいけない…明日、ひょうとしたら決断した5分後には正解とも言える答えがみつかるかもしれない…」

「?」

「真直ぐ見つめて……」

「うん」

これから、何が出来るんだろう。健太は、真直ぐに向けられた視線を見据えながらかんがえた。


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