Wedding 3 | 気紛れな心の声

気紛れな心の声

気がついたこと 不意に感じたこと とりあえず残してみようって^^…最近は小説化しているけれど、私の書き方が上手くなるように感想くださいね

レスリー牧師は、笑顔で光と紗智にソファーの席を勧めてくれた。この場で、結婚式の打ち合わせが行われる。海外から来る客の結婚式を行うにはこれがギリギリのペースだ。事前に説明などできない。国際電話では伝わるものも伝わらない。と、なれば、こうなるという事だ。

5分程度でざっと式の流れが説明された。

「宣誓は…日本語と英語とどちらになさいますか?」

「えっ…と」

光は、紗智の顔を見た。光は、どちらでも良かった。だったら、奥様の意向に添っておきたい。と、紗智を見た。紗智は、困った顔で光を見詰め、答えを出せと瞳を売るウルトさせながら訴えかけた。が、そんな光線に気付けるほど光にはゆとりが無い。完全に舞い上がっているのだから。

たかが英語。されど英語。ついでに出来ない英会話、となれば……不安は募るばかりである。

「じゃあ…英語で」

「OK」

紗智の返事に牧師は二つ返事で応えた。彼にとってはどちらでも同じ事だ。どちらかといえば母国語である英語のほうが気持ちを込めやすいかもしれない。

光は、ふとそう思った。

神前式とでもいうのだろうか。キリスト教の結婚式は。

どこかゲームのような感覚がここにはあった。神聖なる儀式なのに。

紗智と出会い、最初の関門が親だった。

お互いにバツイチ…離婚経験者。離婚間もない二人が出会い、すぐにでも結婚をする。それを互いの親がすぐに受け入れるわけが無い。でも、親を説得する気も無かった。

子供じゃあるまいし…。そんな思いが何処かにあったのかもしれない。

『認めない』

その言葉に、「わかりました」と光は返事をした。

認められる必要が何処にあるのだろう。

俺は俺だし、彼女は彼女だ。互いが互いをこれからのパートナーに選んだ。それを認めてもらう必要が何処にあるのだろう。法的にも、光たちを拘束する力はない。別に犯罪をしているわけではないのだから。

―認める必要はありません

 ただ、知っておいてください

 私たちが結婚するという事実だけを -

短い手紙だった。それでも精一杯考えた。

一人で立ち続けるための、二人で支え続けるための精一杯の抵抗だった。

勘当されたのかどうかはわからない。ただ赤の他人扱いだった。だからどうだというのだろう。世界中の誰もが敵になっても、自分達だけは見方であればいい。お互いを裏切らないと信じればいい。二人の家族を増やせば良い。それだけだ。

その想いのまま入籍をした。

息子が生まれ、妻の母は少し受け入れを開始してくれた。

結婚後、初めて対面したのは1年後だった。

ぎこちの無い対面。掛ける事の出来ない言葉。完全にお客さん扱いの招かざる客。それで当たり前だろう。分かり合えるはずが無い。分かり合うための何かを自分で壊したのだから。

新たな再出発。

何処かすっきりとしないままに光は、紗智の夫として受け入れらた。

自分の思惑とは全く違うところで出てくる幾つもの柵にうんざりしながらどうにか家族らしく振舞えるようになった。

家族の誰も呼んでいない2人だけの結婚式。いや、3人だけの結婚式。

強行ともいえる日程での結婚式は旅行のついでだった。ウエディングドレスくらい。そんな気持ちでこの計画に乗った。計画といっても立てたのは光である。プランをしてくれたのは、ミッキーネットというインターネット上で旅行取り扱いをしてくれる会社のスタッフ(実在してますよ^^)。彼女の言葉に乗って、計画、日本の旅行社の値段で結婚式まで出来るという事で…。

台風の妨害にもあいながら、渡米が一日遅れたりと問題があったが、どうにか昨日、空港から衣装合わせをして本日の式に間に合った。余談だが、朝一でシンデレラ城前での写真撮影というおまけもあった。ので、正直に寝不足である。

(良い思い出に…)

牧師は、説明を終えると、「結婚とは?」と光に聞いた。

「えっっと…」

「では、夫婦とは、夫の役目とは……」

「!妻を支える事…」

「Oh、紗智は?」

「夫を支える事…」

「OK、頑張って…」

レスリー牧師は、光と紗智と握手をすると正装の為に席をはずした。

「いよいよだな…」

「うん…ありがとうね」

「ん?別に」

「格好つけないの…」

「はは…俺のほうこそ…」

「?」

「ここまで一緒に歩いてくれて…」

「もう終わりみたいよ…」

「そうだな…これからだな」

「うん」

 

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