それでも物語が必要だ | 夢と希望と宝塚

それでも物語が必要だ

「世界にはそれでも物語が必要だ」という言葉をコナン・ドイルの彩風咲奈さんが舞台で発した時、ハッとした。息を呑んだ。


今読んでいる本アンデシュ・ハンセン『メンタル脳』を読みながらそのことを思い出した。


脳は作り話をする。

私達は脳から作り話を聞かせられながら生きている。そうでなければ、人生は複雑すぎるから。


悲しい思い出は、安心できる人に話したほうがいい。話しながら、傷は癒えていく。話さないと、石に刻まれる。


心理カウンセリングに行ってきた。

定期的に通っている。

理由は、今の状況だと、いつ、メンタルが崩壊するかわからないと思ったから。予防的に。


「明るくて異彩を放っている。」とカウンセラーさんに言われて、嬉しいような申し訳ないような。


「この状況だと、躁うつ病になってもおかしくないのに。さすが。サバイバル能力が高い。」と去年、言われた時に、意外で驚いた。


毎回のように「サバイバル能力が高い」と言われ、すごく嬉しいような、何ともいえない気持ちになる。


心理カウンセリングに向かう電車の中で本を読みながら、ふと、「私は私なりの物語を紡ぐためにカウンセリングに通っているんだ!」と、ひらめいた。


納得解を得るために。

実感の伴う年輪を刻むために。

安心できる人に話を聞いてもらう。

安心できる人の力をお借りして物語を紡いでいく。


映画『カラフルな魔女』をこれから観る予定だ。

初めての映画館。早く来すぎたので、イタリアン・カフェでちょい飲み。スパークリング・ワインとビール。生ハムにナッツにチーズ。


何だか泣いてしまいそう。

飲みながら。

頑張っているよ、私。


人と話をする時は、話す人が語る物語を美しく彩ることができるように聴きたい、話したい。

どんなに悲しくても苦しくても、美しい物語になるように。


そう思うと、宝塚の舞台は、まさに、どんなストーリーも美しく彩られているように感じる。宝塚の魅力のひとつは、もしかすると、どんな人生も美しい物語にできることかもしれない。観客は、宝塚の舞台を観ながら、自らの人生を美しい物語に編集しているのかもしれない。


だからこそ有愛きいさんの美しく尊いかけがえのない命を、宝塚歌劇団が、阪急が、この上なく尊重してくれないと、観客は納得できないのかもしれない。


有愛きいさんのことをあの日から、毎日、一度は考える。


大切にしてほしい。

大切にされたい。

尊い存在を。

かけがえのない命を。