


アメリカの人たちには本当に失礼かもしれないが、今まで散々、裏切られてきた米国の食事情の意外な充実度にはこれまで様々な形でここに軌跡を残してきたつもりである。(もちろん良い方へ裏切られた、ということ)
それじゃ、ということでこの食事情の豊かな国で味わうフレンチってどんなモノ?という興味は湧いてきても不自然ではないと思う、が、どうしてもフレンチ=濃い味(特にアメリカでは)+ドッカンというボリュームを先入観を持ってしまっていた。
この2週間、こちらへ来て初めてと言ってもいいくらい、仕事に追われまくったし、まだそれが今週いっぱいは続く予定だが、忙中閑あり!ということもあって、フレンチを味わう機会に出会った。
まだまだフレンチをこの国で味わうのは早いと思っていたが、ちょっとしたチャンスだったので行ってきました。
しかも私の住むところで最も高級なフレンチ、という評判を誇るその名も「French Room」。老舗超高級ホテルにあるメインダイニングルームでもある。
こちらの高級ホテルは例の「バレットパーキング」システム、車寄せに止めると、パーキング係がやって来てキーを付けたまま車を放っておいてロビーへ進む。何と!ここのバレット、20ドル也!と破格の高値。
ここでホテルの施設を使うと無料になるかな?なんてせこい思いを持ってしまってはいけない、と言い聞かせる。
重厚な木材インテリアのロビーを進み、お目当ての「French Room」へ。
もちろん予約はちゃんとやってあるし、ドレスコードもちゃんと聞いてある。
(ジャケット必須、ネクタイはどちらでも良い、ということであった)
店内はアールデコ調の天井が高くてなかなかのインテリア、でも私個人はこういった内装は趣味に合わない。駐仏時代に行った、ランス(Reims)のクレイエールという3星レストランと同じような雰囲気。
ソムリエ、担当の給仕係が同時にやって来て、食前酒とお勧めをボソッとした口調で、でも笑顔で説明してくれる。
メニューはアラカルトは存在しなく、シェフお勧め10品のコース(159ドル)、6品(95ドル)とアントレ、メイン、デザートの3品を各8種類程度から選べる78ドルの3種類のみ。
量がドッカンというイメージがあったのと、お勧めは何か押しつけられているような気分なのであっさりとパスし、78ドルの一番安価な(?)コースにする。
ただ、この安価なコースでもフォアグラソテーをアントレに選ぶと10ドルの追加・・・等々、結局は100ドル程度になってしまう「可能性も」ある。
①アントレ : スモークサーモンのカルパッチオ

②メイン : 特産ステーキとオリーブ・ブドウのリゾット添え

③デザート : ショコラ・フォンダンとラズベリーアイス

※参考までに一緒に行ったワイン好きが選んだワイン(確か80ドルくらいだった)

①についてはもうちょっとサーモンが薄切りの方が良かったが、岩塩とオリーブオイルの絶妙のコンビネーション+キャビアのアクセントがなかなか。
②「べた」にも不覚にもステーキにしたのはこの土地名産牛だったこともあるが、添え物のリゾットに惹かれてしまった! 柔らかくミディアムレアの赤身牛の焼き加減とやはり岩塩の味付けは「やるな~」と。
しかも添え物のリゾット、これはなんか今まで食ったことのない組み合わせと食感、味付けは唸るしかなかった。肉は岩塩だけでなく、香草で程よく丁寧に下ごしらえした感じが出ているのもグーッド!!
③ちょっとした期待はずれとこんな風なアレンジのショコラフォンダンもあるんだ!っていう感じだった。
普通、中のショコラがふわっと流れ出てくるのがこれまでのショコラフォンダンだったけど、これはショコラ・クレームっていう作り方。
最初、とにかくアメリカのフレンチの攻め方をとくと拝見、さぁ、挑戦してこい!って感じで乗り込んだ「French Room」だった。でも全て味わった結果、これは実力がかなりある!と判断した。
同行したワイン好き2名のも少し分けて貰ったが「サーモンの驚き」っていう名のタタキ風のは感銘を受けるほどの凝った造りだった。
シェフがテーブルを回ってきたので「どこで修行したの?」と聞くと、NYの「マンダリンオリエンタル」で修行したとのこと。
私はこの挑戦を受けた皿のほとんどが南仏の香りがプンプンとしたので、てっきりプロバンスのボーマニエールとか、レガリドなどのレストランで修行したシェフだと思っていた。
かなりの実力者、しかもまだ30歳代半ばの若いシェフが大抜擢された理由がこの辺りに潜んでいるのではと考えながら、次はいつまた行こうか、なんてことを考えてしまっていた。