『日本国記』  「厳島神社」   四宮神社と大国主     限りなく真実に近いアナザーストーリー  【59A】    ひじかたすいげつ 
 

 

 つづく

 

 厳島には「厳島神社」のほかにもたくさんの神社がある。船でしか行くことのできない神社もある。弥山の山頂にある弥山神社は「イチキシマヒメ」と「アメノウズメミコト」を祀る。そして、「厳島神社」から紅葉谷に向かう途中に「四宮神社」があり、そこには「イチキシマヒメ」と「大国主」が祀られる。

 

 「厳島神社」は今でこそ「宗像三女神」を祀るが、以前は「豊玉姫」を祀っていた。宇佐の「豊玉姫」であるから、出雲とは直接関係はない。しかし、「厳島神社」は今まで述べたように宇佐の気配は全くなく、出雲一辺倒である。あえていえば、吉田神道による倭化、つまり、御祭神を宗像三女神とし、天孫降臨神話に合わせ、ニニギに従った五伴緒の神である客社を最初に祀っている。

 

 一方、神戸の「生田神社」は「生田裔神八社(いくたえいしんはちしゃ)」を持つ。「生田裔神八社」は「生田神社」を囲む。この八社は一ノ宮、二ノ宮、三ノ宮、四ノ宮、五ノ宮、六ノ宮、七ノ宮、八ノ宮があり、とくに三ノ宮は神戸の中心地で、兵庫県の県庁所在地と思っている人がいるかもしれないが、県庁所在地は神戸であって三ノ宮ではない。明治期に道路拡張のため六ノ宮は八ノ宮に合祀されているという。

 

 ここにはアマテラスとスサノヲの誓約で生まれた三女神と五男神が祀られるが、一ノ宮タゴリヒメ、二ノ宮アメノオシホミミ、三ノ宮タギツヒメ、四ノ宮イチキシマヒメ、五ノ宮アメノホヒ、六ノ宮アマツヒコネ、八ノ宮クマノクスヒであるが、七ノ宮だけはイクツヒコネではなくオオナムチとアメノコヤネになっている。本来はイクツヒコネであったのをアメノコヤネに変えたか、または長田神社の末社「みぬ売神社」と合祀されたためかともいわれる。

 

 生田神社は「ワカヒルメ」を祀り、「美奴売神社」は「スサノヲ」を祀るが、「天照皇大神」も祀る。もとはどちらも「神功皇后」が三韓征伐の折に造ったといわれる。どちらも「神功皇后」にちなむ神社であったが、「スサノヲ(オオナムチ)」も祀る。この「スサノヲ(オオナモチ)」は出雲の「スサノヲ(荒ぶる神)」である「ホアカリ(オオナムチではない)」か、または蘇民将来にかかわる「牛頭天王(スサノヲ)」を指しているように思えるが、いずれにしても「神功皇后」の神社のようである。

 

 「厳島神社」の先の紅葉谷に向かう途中の「四宮神社」には「イチキシマヒメ」が祀られる。「四ノ宮」はここでも「イチキシマヒメ」であった。「四宮かぐや」もそうであるが、「四宮」は女性であった。

 

 

 つづく

 

hijikatasuigetu…のmy Pick