「横浜パブリックアート大全」再考 | 土方美雄の日々これ・・・

「横浜パブリックアート大全」再考

じっくり読んで、いい本だなぁ・・と、改めて思ったので、再度、紹介します。

 

飯島悦郎・村田真「横浜パブリックアート大全」(BankART1929、2000円+税)

 

第1章の「横浜市内作品ガイド300選」と、第2章「パブリックアートの過去・現在・未来」からなり、第1章は元横浜市職員で、主に都市づくり関連業務に従事してこられた、飯島悦郎さんが執筆。とにかく、横浜市内にあるパブリックアートを、地域別に網羅し、それぞれの地域と、そこに設置されたパブリックアートの成立過程について、まず、記述した上で、オールカラーで、その写真と、ごく最低限の基礎データ、所在地のマップを、掲載している。つまり、実際に、パブリックアートを観て回る際の、最適なガイドブックになると共に、その地域ごとに、どのような都市づくりが行われてきたかまで、同時に、わかる内容となっている。執筆者である飯島さんの、並々ならぬ執念がうかがえる、力作である。

第2章は、美術ジャーナリストでアーティスト、BankARTスクール校長の村田真さんが、これまでの何回かのパブリックアートに関するスクールでの講義の、エッセンスとでもいうべき、パブリックアートの成立史や、横浜個別での展開(この部分は、飯島さんとの共著)だけでなく、パブリックアートの持つ限界や、今後の課題までを、簡潔かつ端的に、記述されている。とても、わかりやすい内容だ。

とにかく、ブーム???が過ぎ、次第に、過去の遺産化しつつある、パブリックアートを見直し、どのように残していくべきなのかを考える上で、必読の書と思う。

私がよく買い物に行く、大森海岸駅前のイトーヨーカ堂へと向かう道には、草むらにたった1体、少女像のパブリックアートが残されている。でも、保存状態は最悪だし、誰がつくった、何というタイトルの作品かも、一切、わからない。すでに、完全に、廃棄されたアート作品に、なってしまっている。それが、ここに設置された経緯を、是非、知りたいとも思うようになったのも、村田さん、飯島さんの講座に参加したからだ。

本では、住んではいないが、私の持ち家(実家)がある戸塚の、パブリックアートも、紹介されている。正直、その存在自体を、まったく、知らなかった。

購入は、BankART1929のHPか、BankART Staitonか、BankART KAIKOの各売店で。