「響」 | 土方美雄の日々これ・・・

「響」

15歳の高校生の少女が、初めて書いた小説で、芥川賞と直木賞をW受賞するという、ハッキリいって、荒唐無稽な柳本光晴のコミックの実写映画化が、これほど、圧倒的なリアリティを持って、私たちに迫って来るのは、ひとえに、主人公の鮎喰響を、欅坂46のカリスマセンター、平手友梨奈が演じたから。これは原作の響が、、平手に、文字通り、ドンピシャな役柄であったからで、そのことを一番よくわかっているのは、平手自身。15日付「朝日」夕刊での、彼女へのインタビューでも、平手は、また、スクリーンで、是非、彼女の姿を観てみたいとの記者の問いかけに対し、苦笑しつつ、「もういいかな。響くらい好きで、自分が表現したいと思わない限りは」と、答えている。

「君の膵臓を食べたい」や「となりの怪物くん」等ヒットメーカーの、月川翔監督作品。

自分にまっすぐな故に、世間とも衝突してしまう、不器用な響の天才ぶりを描く一方で、その天才の登場で、追い詰められていく、アヤカ・ウィルソン演じる凜夏や、小栗旬演じる春平らの姿も、同時に描き、人の世の残酷さをも、観る者に突きつける。

出演者は、他に、北川景子、柳楽優也、吉田栄作、高嶋政伸等。エンディングの「角を曲がる」という曲の歌唱も、平手自身である。

文字通り、平手のための映画。「もういいかな」などとはいわず、是非、また、映画にも挑戦してもらいたい。平手は、それが出来る、まれにみる逸材なのだから・・。