「笑う故郷」試写会報告 | 土方美雄の日々これ・・・

「笑う故郷」試写会報告

ハッキリいって、かなり衝撃的な映画である。

オスカル・マルチネス演じるダニエル・マントバーニは、アルゼンチン出身で、今はスペインに住むノーベル文学賞受賞作家。受賞から5年後、ありとあらゆる名誉と富を手中にし、今は、バルセロナの豪邸で、隠遁生活を続ける彼のもとに、20代で逃げるように去ってから、ただの1度も帰っていない生まれ故郷のサラスから、「名誉市民」の称号を授与したいという、招待状が届く。様々なイベントやパーティへの出席を、頑なに拒み続けてきたダニエルだが、何故か、ふと故郷に戻ってみたいという、気まぐれにも似た気持ちがわき上がり、秘書を同行させることもなく、たった1人で、サラスへの帰郷を決意する。

物語は、そこから始まる。帰郷したサラスは、昔も今も、ダサい田舎町で、空港にやって来た迎えの車が、途中でいきなりパンクして、一夜を車内で過ごすハメになったり、「名誉市民」の称号の授賞式では、消防団の車に乗って、無理矢理、歓迎パレードに参加させられたりと、それこそ、爆笑もののエピソードの連続。

しかし、幼なじみや、かつての恋人と再会し、やはり、生まれ故郷はいいものだと、不覚にも思い始めていたダニエルに、旧態然とした閉鎖社会である故郷は、突然、牙を剥き、襲いかかり、そして・・という、物語。

とにかく、物語後半の急展開と、彼を待つ、あまりにも衝撃的かつ悲劇的なラストが、凄い。そして、さらに、大どんでん返しの結末と、エンドロールが流れても、その強い衝撃で、なかなか、席を立てないこと間違いなしの、映画です。

監督は、共にアルゼンチン出身のガストン・ドゥプラットとマリアノ・コーン。この作品で、主演のダニエル・マントバーニは、昨年のベネチア国際映画祭で主演男優賞を受賞。その他、数々の賞に輝いた、超話題作です。

日本では、9月16日より、岩波ホールでのロードショー公開が決まっています。

ということで、とりもあえずの紹介まで。いずれ、多分、どこかに、詳しい映評を書きます。

しっかし・・ねぇ、これは本当に、正真正銘の不意打ちでした。完敗です。