「富江 アンリミテッド」 | 土方美雄の日々これ・・・

「富江 アンリミテッド」

大好きな伊藤潤二さんの「富江」も、確かもう、これで8回目の映画化。正直、もうマンネリだが、今回は「片腕マンンガール」や「ロボゲイシャ」の井口昇さんが映画化すると聞いて、俄然、観る気になった。

井口さんの映画は、兎に角、ハチャメチャで、ぶっ飛んだ、文字通り、血まみれ青春エンターテイメント。その手法で、どう「富江」を料理するのか、わくわくしつつ、首都圏で唯一の上映館である、バルト9へ。

今回の富江は高校生で、冒頭、妹の月子の目の前で、建設中のビルから落下した鉄骨に串刺しにされ、絶命してしまう。その類い希な美貌で、両親の寵愛を独り占めし、学校でも常に人々の輪の中心にいて、光輝いていた富江、月子はその姉の死に、深く傷つくと同時に、ある種の開放感もまた、感じていた。しかし、そんな開放感は長く続かず、ある日、死んだハズの富江が帰って来た。周辺の人間関係を、文字通り、メチャメチャにし、月子を追い詰めるために・・と、まぁ、そんなストーリィ。

そこからは、まさに井口節炸裂の展開で、弁当箱に富江の顔がギッシリの、富江弁当から、今をときめくAKB48のメンバーで、「渡り廊下走り隊」の多田愛佳を、首なし死体にして、文字通り、走らせたり、とどめは超巨大富江に、富江ムカデ・・と、まさに、やりたい放題。あまりのバカバカしさと面白さに、これがホラー映画であることを、ついつい、忘れてしまうほどだ。これはまさに、伊藤潤二の「富江」であると同時に、紛れもなく、井口昇の「富江」でもあり、B級に徹したアホらしさも、実に潔い、秀作である。

富江役の仲村みうの、ゾクッとする妖艶さと、茶目っ気、そのいわば対極の、月子役の荒井萌のフツーさ、真摯さも、非常に、よい。

それにしても、多田ちゃん、天下無敵のAKBが、これでホントにいいのかい???