「ぼくのエリ 200歳の少女」 | 土方美雄の日々これ・・・

「ぼくのエリ 200歳の少女」

すでに以前のブログで詳しく記したので、なるべく重複は避けたいが、スゥエーデンのヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストのベストセラー小説「Let The Right One In」の映画化作品で、監督はスゥエーデンのトーマス・アルフレッドソン。すでに世界各国の映画祭で軒並み高い評価を受け、ハリウッドでのリメイクも決まった、ヴァンパイア映画の傑作である。

主人公はいじめられっ子の12歳のオスカー。彼の住むアパートの隣の部屋に、父親らしき人と共に引っ越して来た少女エリもまた、同じく12歳。しかし、彼女にはある秘密があった。彼女は人間ではなく、少女のまま、200年近く生き続けている、ヴァンパイアなのである。共に孤独な存在であるオスカーとエリは、出会ってすぐに惹かれ合うが・・。

痛いまでの孤独感と、みずみずしい初恋、そして、残虐な殺戮シーンとが織りなす、しかし、全編を不思議な静寂感が支配する物語は、近年、まれに見る完成度で、ハリウッドによるリメイクは、正直、観たくない。

オスカー役のカーレ・ヘーデブラントと、エリ役のリーナ・レアンデシヨンも、共に11歳と12歳という年齢(撮影時)で、この難役を、実に見事に演じている。

一見、ハッピーエンドのようにも見えるラストは、実に様々な「解釈」が可能だろうが、原作者のヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト自身は、こう語っている。

「『ぼくのエリ』は、1982年、ストックホルム郊外のブラッケベリを舞台にした、激しい暴力、超自然的要素、そしてハッピーエンドを迎えるとてもロマンチックな物語だ。

つまり、

『入っていい?』

『入れてよ』

『どうぞ』」

私は、その言葉を、素直に信じたいと思う。

傑作です。