「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」 | 土方美雄の日々これ・・・

「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」

全世界で2100万部を売ったという、スウェーデンのミステリィ作家、スティーグ・ラーソンのデビュー作にして遺作の原作(早川書房/3部作、各上・下2巻で、計6冊)は、買ったことは買ったが、ま~だ、部屋の片隅に、他の未読の本と一緒に、積んである状態。その第1作の映画化作品なので、ほぼ原作通りの展開なのか、あるいは多少の(もしくは、大幅な)改編があるのかは、残念ながら、私にはわからない。

それに加えて、女性への性的暴力がテーマになるミステリィなので、正直、観ていて、スカッと爽快という作品では、あり得ない。にも関わらず、「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」は、文句なしに、面白い。

名誉毀損により、禁固3カ月の刑が確定、職場を去ることになった月刊誌「ミレニアム」の敏腕記者、ミカエルのもとに、大企業ヴァンゲル・グループの前会長、ヘンリック・ヴァンゲルから仕事の依頼がある。彼は、40年前、一族の所有する島から、行方不明になった姪は、実は一族の誰かによって殺害されたと考えており、その真相をミカエルに探ってもらいたい、というのである。依頼を引き受け、島に移り住んだミカエルは、背中にドラゴンのタトゥーを入れた謎の女性、リスベットの協力を得て、その不可解な失踪事件の調査に乗り出すのだが・・と、まぁ、そんなお話。そして、感動の、大どんでん返しも・・。

本格ミステリィと連続猟奇殺人事件を組み合わせ、そこに社会派ミステリィの要素をも盛り込むというストーリィの妙もさることながら、ミカエルの相棒となる、孤独で、ミステリィアスな天才ハッカー、リスベットの人物造形が、特に秀逸。このコンビの活躍が、著者の急逝により、あと、たった2作(「ミレニアム 火と戯れる女」「ミレニアム 眠れる女と狂卓の騎士」がそれ、すでに完成している)しか観ることが出来ないのは、まことに残念である。

スウェーデン映画のためか、上映館の極端な少なさも、残念なことのひとつ。