「ヘンリー・ダーガー展へ」の続き | 土方美雄の日々これ・・・

「ヘンリー・ダーガー展へ」の続き

日曜は実家へ帰る。実家では、以前はパソコンを持ち込んで仕事をしていたが、最近は手ぶらで帰るので、片道徒歩10分の生協の大型店舗まで買い出しに行くか、居間や台所で母とおしゃべりをするか、あるいは本を読むか、寝てるかなので、毎度のことながら、特段、書くことがない。

今回は先日行った「ヘンリー・ダーガー展」の図録や「美術手帳」で、私も以前本を出したことのある作品社より、ジョン・マクレガー著「ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で」という本が出ていることを知ったので、それを購入して、持って行った。

この本は前半がヘンリー・ダーガーの「非現実の王国で」の抄録と多くの図版、後半がダーガーの研究者であるジョン・マクレガーによる平易な解説からなり、図版を見て気づいたのは、今回の原美術館におけるダーガー展においては、ダーガー美術のひとつの側面である、子供たちへの拷問や虐殺という残酷な描写の数々が、ほとんど展示されていないということである。しかし、ダーガーは子供の楽園建設というユートピア的世界を描く一方で、人間の内面にある「悪」をも常に見つめていた作家であり、そうした側面を欠いたダーガー像というのは、やはり違うんではないかとも、思うのである。

もちろん、初めてダーガー作品を見る人に、ダーガーの人間像に対する誤解を与えたくないという主催者サイドの意図は、それはそれで理解できなくもないが、しかし、これで本当にいいのか???

そんなことを考えていた一日だった。