小笠原慧はすごい!! | 土方美雄の日々これ・・・

小笠原慧はすごい!!

現役の精神科医でもある、ミステリィ作家・小笠原慧の第3長編「サバイバー・ミッション」(文春文庫)を、読んだ。この作品は2004年に、すでに単行本として刊行されていたものだが、不覚にも見逃していた。

小笠原慧は2000年に刊行した「DZ」で横溝正史賞を受賞、作家デビューした。第2長編「手のひらの蝶」共々、ミステリィであると同時に、SFでもある独自の作風と、緻密なストーリィ構成と、それを一気に読ませる筆力、そして、あっと驚くラストと、そのどれをとっても実に完璧な作品で、たちまち、ファンになった。

本作「サバイバー・ミッション」でも著者は、サイコ・サスペンスにして、近未来SF、そして、同時に本格ミステリィでもあるという欲張りな要素を、この作品に目一杯盛り込みながら、決して荒唐無稽にならず、説得力のある作品に仕上げている。とにかく、もう脱帽。

なお、近日中に新刊が出る予定で、しかも、この「サバイバー・ミッション」の続編であるという。その刊行が待ち遠しい。