ミリオンダラー・ベイビー | 土方美雄の日々これ・・・

ミリオンダラー・ベイビー

私はクリント・イーストウッドの出演したTVドラマ『ローハイド』をリアルタイムで見た世代なので、彼に対しては強い思い入れがある。『荒野の用心棒』等のマカロニ・ウエスタンにはそれこそ夢中になったし、『ダーティー・ハリー』シリーズなど、ハリウッドに凱旋復帰してからの彼の主演作もほとんど観ている。

監督としてのイーストウッドの凄さを知ったのは、『バード』で、このチャーリー・パーカーの半生を描いた秀作に感動して、三日続けて、映画館に通ったこともある。

待望の新作『ミリオンダラー・ベイビー』は今年のアカデミー賞主要4部門を獲得したので、日本でも大いに注目を集めたが、文字通り、掛け値なしの傑作だ。娘に見放された老トレーナーと、家族愛に恵まれない、貧しく孤独な女性ボクサーとの出会いが、二人に奇跡的な幸福な時を産むが、その幸福も、彼女のまさに「ミリオンダラー・ベイビー」としての輝きも、一時しか続かない。主人公の下した最後の決断には、あるいは異論がある方もいるかもしれないが、人生の儚さと、人生の素晴らしさとを、いささかも気負うことなく、淡々と描き出した、いぶし銀の秀作である。この作品で作品賞と監督賞を手中にしたイーストウッドだが、主演男優賞も是非、取らせたかった。ヒラリー・スワンクも、モーガン・フリーマンもいいが、やはりイーストウッドあってのこの映画です。

二日続けての外泊。もうよれよれです。今日は早く家に帰りたいが、メキシコ学勉強会がある。終電までに帰れるか、どうか・・。