届けられなかった思いを載せた手紙が届く登天郵便局と、幽霊専門の案件を扱うたそがれ探偵社を舞台に、この世とあの世の間に漂う6つの謎を解く、“幻想シリーズ”初の短編集です。
6編の短編が収録されています。
「幻想ハイヒール」
「幻想オルゴール」
「幻想スパムメール」
「幻想モカロール」
「幻想カンガルー」
「幻想ラブレター」
各話とも、“幻想シリーズ第1作『幻想郵便局』と第5作『幻想温泉郷』に登場した登天郵便局に出されなかった手紙が届く場面で始まり、第4作『幻想探偵社』に登場したたそがれ探偵社がその手紙にかかわる事件の謎に挑むという構成となっています。
シリーズ第2作『幻想映画館』に登場した島岡真理子がたそがれ探偵社で働き始める「幻想ハイヒール」、たそがれ探偵社の所長でヤンキー姿の元幽霊の大島順平と探偵社に入り浸っている楠本ユカリが殺人事件の謎に挑む「幻想オルゴール」、ユカリと同級生の中井海彦が通う高校で事件に巻き込まれる「幻想スパムメール」、女の嫉妬とパワハラで命を狙われる女性を大島とユカリが救う「幻想モカロール」、息子の離婚で孫と会えなくなることを恐れる老人の相談に大島とユカリが乗った結果、事件に巻き込まれる「幻想カンガルー」、恋多き女性の真理子の新しい恋愛騒動を描く「幻想ラブレター」と様々な謎の真相を大島とユカリが明らかにします。
幽霊がたくさん出てきますし、語られるのは切ない過去だったり、くすぶる怨念だったりしますが、大島とユカリと真理子のやり取りがテンポもよくがユーモアに富んでいるので、怖くはありません。
読み終えると心が少し温かくなる、ユーモアホラー・ファンタジーでした。
幻想短編集 (講談社文庫)
648円
Amazon |
表紙のイラストは、これまでのシリーズと同様にイラストレーターのタマキさんです。
ハイヒールとオルゴール、モカロール、そしてひまわりの花が描かれています。
タマキさんの公式サイトはこちらです。→http://yaneura.dotera.net/
[2019年1月24日読了]
“幻想シリーズ”のこれまでの作品を紹介したページは次のとおりです。
第1作『幻想郵便局』(http://ameblo.jp/hiikun-book/day-20130221.html)
第2作『幻想映画館』(http://ameblo.jp/hiikun-book/day-20130808.html)
第3作『幻想日記店』(http://ameblo.jp/hiikun-book/day-20150321.html)
第4作『幻想探偵社』(http://ameblo.jp/hiikun-book/day-20181212.html)
第5作『幻想温泉郷』(http://ameblo.jp/hiikun-book/day-20181224.html)