「修道女フィデルマの挑戦」ピーター・トレメイン | ひいくんの読書日記

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ひいくんが、毎日の通勤電車の中で読んでいる本を紹介します。
通勤時間は30分ほどなので、軽い読物がほとんどです。

副題に“修道女フィデルマ短編集”とあるように、法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマが7世紀のアイルランドを舞台に活躍する“修道女フィデルマシリーズ”の日本オリジナルの短編集第4弾です。

 

なお、これまでの3冊は次のとおりです。

 第1弾『修道女フィデルマの叡智』(http://ameblo.jp/hiikun-book/day-20090906.html )

 第2弾『修道女フィデルマの洞察』(http://ameblo.jp/hiikun-book/day-20100708.html )

 第3弾『修道女フィデルマの探求』(https://ameblo.jp/hiikun-book/day-20130110.html )
 

6編の短編が収録されています
化粧ポウチ

死者の囁き
バンシー
消えた鷲
昏い月 昇る夜

収録されている短編は、フィデルマモラン師が院長をつとめるタラの学問所に入学したときに遭遇した、フィデルマの身の回りの品を入れたポウチの紛失事件(「化粧ポウチ」)、タラの学問所の最終試験の課題として出された頭蓋骨消失事件(「」)、殺された女性の身元と犯人を推理する事件(「死者の囁き」)、三晩続けて聞かれた死を告げるバンシーの声をめぐる事件(「バンシー」)、有名なローマ第九ヒスパニア軍団の鷲の謎にフィデルマが挑む事件(「消えた鷲」)、消えた川船にまつわる犯罪をめぐる事件(「昏い月 昇る夜」)と最初に2編はフィデルマがまだ修道女になる前の事件、後の4編は学問所を卒業後、ドーリィの資格を得て修道女になってからの事件です。

この作品では、修道女になる前のフィデルマを描いた最初の2話が注目です。


私のお気に入りも、第1話の「化粧ポウチ」です。
この話では学問所に入学したばかりの16歳のフィデルマが登場します。
冒頭では、フィデルマが軽いホームシックになったり、同室の上級生からいびられたりして、
初々しくてちょっとかわいいフィデルマが見られるかと期待が高まりますが、
あっという間に新しい環境に適応したフィデルマは完璧な推理を見せます。
フィデルマは10代のころから、フィデルマでした!

第2話の「痣」では、この学問所での4年間を終え、卒業試験に挑戦する20歳のフィデルマが描かれます。
遅刻したにもかかわらず、試験官の嫌味な口撃にフィデルマがはっきりした物言いで切り返すシーンは読み応えがあります。

ミステリとしてみると、この作品の各話でもフィデルマの推理は非常に明快です。
しかし、物的証拠を科学的に分析する手法のない時代が舞台なので、彼女が到達した結論を証明する証拠がないことがしばしばあります。
そうした状況で、フィデルマの推理にどれだけ説得力を持たせられるかがこのシリーズの見どころのひとつだと思います。
この作品の各話でも、フィデルマはさまざまな手法で犯人の自白を引き出しています。

短編もなかなか面白いのですが、私としてはやはり長編の新作を一日も早く読みたいと思っています。

 


表紙のイラストは、このシリーズの表紙を全て描いているイラストレイターの八木美穂子さんです。
今回も、フィデルマのトレードマークの“いうことをきかない一房の髪の毛”がきちんと描かれています。
八木美穂子さんのウェブサイトはこちらです。→http://www.tis-home.com/mihoko-yagi/

 [2018年1月23日読了]

 

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14年前の9月に大きな出来事はありませんでしたが、9年前の2009年9月6日にこのブログ“ひいくんの読書日記”を始めました。

その記念すべき最初の1冊が、“修道女フィデルマ短編集”の第1弾『修道女フィデルマの叡智』でした。

アメブロが始まった記念の日に、“修道女フィデルマ短編集”の第4弾を紹介できることは感慨深いです。

10年目に入ったこのブログを今後ともよろしくお願いします。

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