「パラサイト 半地下の家族」(リピーター) | ナスターシャのブログ

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音楽、芸術、京都をこよなく愛します♪

最初に書きますが、

途中からネタバレあります!(*‘∀‘)

 

韓国映画「パラサイト 半地下の家族」に

はまってしまいまして、

公開から5日くらいしかたっていないのに、

もう2回、見てしまいました。

そんなのって人生初かも・・・。笑

熱心なリピーターです(;^_^A。

 

 

2回見て、よかったです。

 

とても緻密に構成されていて、

伏線がどれも見事に回収されている

ことがわかりました。

できごとも、せりふも然りです。

 

ここからネタバレしながら感想を書きますので、

これから楽しみにご覧になる方は、

ここでおさらばです。

(^^)/すみません。さようなら!!笑。

 

 

 

 

 

 

✨✨✨✨✨✨✨✨

 

 

 

 

✨✨✨✨✨✨✨✨

 

 

 

 

 

主人公家族が富裕家族に巣くっていたことが

ばれてしまう、詐欺発覚のところまでが、

全体でいうと、

時間をみたわけではありませんが、

だいたい真ん中あたりかと思います。

 

つまり、構成として、

そこからが、大展開するわけでして。

 

最初に見た時は、

1人ずつ取り込んでいくところが

少し長く感じられて、

途中から怒涛の展開になって驚きましたが、、

2回目みたときは、

前段はサクサク、あっさりと、無駄なく、

富裕家族に巧妙に取り入っていく状況が

描かれていることがわかりました。

 

途中からの展開は、

本当に怒涛です。

 

きっちり、一分の隙もなく、

緻密に巧みに、構成されています。

無駄がありません。

 

 

「計画」というキーワードが、

最初から最後まで貫く

ひとつの思想のように思えました。

 

 

額面通りでなく、

「計画」という、

この家族が発する言葉には、

もっと深い意味があるようにも

感じました。

 

詳しくはわかりませんが、

夢も希望も失敗も絶望も、

すべては自分のたてた「計画」が

うまくいったか、はずれたかによるわけで、

そもそも計画なんてなければ

何もない、「無」に等しい、

ということでしょうか。

そうしたセリフが、お父さんの口から

終盤語られるところも、

ひとつのポイントであり、

この映画にこめられたひとつの哲学

のようなものかと思えました。

 

 

全体的なストーリーが

複雑なわけではないですが、

とても、何かがズシリと心に残る映画です。

 

格差社会、それが一方通行ではなく、

貧困層と富裕層などが

互いに巣くい合っている構図が、

シンプルに、単刀直入に

描かれているようでした。

 

 

「におい」や、

これだけスマホ社会になっているのに、

モールス信号という古典的な

コミュニケーションが重要になっている

ところも、見ている観客の感情に

強く訴えかけてくる要素だと思いました。

 

 

途中、何度も怖いところがありますが、

それが深刻化したり、

見るのが嫌になったりしないのは、

音楽の使い方や映像の見せ方が

大きいかもしれません。

 

まさかこんなところで、

というような修羅場の場面で、

高貴、高尚なるクラシック音楽や、

ロマンチックな歌謡音楽が流れたり、

現代音楽、現代美術を思わせるような

抽象的で都会的な音楽が流れたり。

ちょっと観客の気分をそらしてくれます。

 

 

坂道や階段、大洪水、自然災害が

クライマックスに描かれていますが、

そこがあるとないでは大違いで、

よくぞこのようなクライマックスを

作られたなと感銘を受けました。

 

富裕層の住む高台、

つまり格差社会の上から下へ

流れ落ちる水、濁流、奔流に、

半地下や地下に住む貧困街の

家々は飲み込まれ、

家の中、台所やリビングも

便所水にあふれます。

 

過去の思い出も、

つつましやかなふつうの暮らしも

すべてが汚物と化していく、

巨大な不幸が、

大災害として(でも時間的にはコンパクトに)

描写されています。

最も衝撃的な場面の一つです。

 

もはやせりふはいらない、

水と町の様子と、主人公家族たちの表情で、

十分、この世の不条理が、

表されていて、最も胸をえぐる場面と

なっていました。

 

そして、それで終わらないのが、

この映画のすごみです。

 

最後にもっと凄惨な、

惨劇のクライマックスがあり。

 

結果的に同じ運命をたどる、

富裕層の父親と、

貧困層の娘が、

同じお風呂に入っていたことなど、

随所に暗示的な部分や、せりふが、

ありました。

 

2時間20分ほどのこの映画には、

冒頭から終幕まで

網の目のように伏線がはられ、

さりげなく、時々刻々と回収されています。

 

なぜ見続けて不快にならないのか、

考えながら2回目を見ました。

 

映画に全然詳しくないので、

しろうとの考えですが、

映像の見せ方、処理のしかたで、

観客を物語に没入させない、

くすっと笑わせたり、

映画の中の現実からちょっと離れて

見ることができる仕掛けが、

ちょこちょこ、出てくるのが、

その秘密かなと思いました。

 

たとえば、

すごい修羅場で、

突然スローモーションになって、

戯画化されます。

人間の滑稽さが露出し、

ユーモラスにさえなります。

 

時にはスローモーションによって

美術の絵画のような、

綺麗な場面に美化されたりもします。

 

 

まるで運命を暗示している

ようです。

 

主人公家族のお父さんとお母さんは

現実にいそうな生活感のある人たちですが、

兄と妹役の俳優さんの顔、表情が、

ふたりとも、なんともいえない、

詩的なお顔、表情をされます。

本当に適役です。

そんな俳優さんの表情に雨が重なると、

詩以外のなにものでもない

印象深い場面となります。

 

 

音楽も実に効果的に、

随所に使われていますから、

観客として深刻に場面に没入

しすぎず、ほどよい距離感で、

エンターテインメントとしてこのお話を

最後まで楽しめる、のだと思いました。

 

観客に少し距離感をもって舞台や映画を

見させる、というのは、

異化効果、とでもいうのでしょうか。

よくわかりませんが、

そこがとても、効果的だと思いました。

 

 

最後の終わり方も、

絶望だけでなく、

少しの希望を胸にいだきながら

終われたので、観客としては

どんよりした気持ちでなく、

少し慰められたような余韻をもって

映画館をあとにすることができたので、

とてもよかったです。

 

これからアカデミー賞などの

発表があると思いますが、

きっと高評価される作品だと、

思います。(#^^#)

 

こんなに人間や社会の

根源的なところを突いているのに、

こんなに極上エンタメ映画として

楽しめるのが、

すごいバランス感覚だと思いました。

 

あぁ・・・

熱く語ってしまいました笑。

(;^_^A