滋賀県米原市旧伊吹町の廃校再生(2017/11/04撮影) | haiko-riderのブログ

haiko-riderのブログ

2010年春から現在まで、趣味で廃校休校巡りをしてます。
これまでに訪れた校舎や思い出を記事にしてます。
無分別な廃墟探索とは全く異なりますので、誤解無きように。

米原市(まいばらし)は、滋賀県の北東部(湖北地域)に位置する市です。
2005年(平成17年)2月14日 、坂田郡山東町・伊吹町・米原町(まいはらちょう)が

合併して発足しました。

気候は年間を通じて日本海側気候に近く、特に旧山東町と旧伊吹町は

冬季に雪が多い豪雪地帯です。

旧伊吹町(いぶきちょう)は、滋賀県坂田郡にあった町で伊吹山の麓に

位置し寒さの厳しいところです。

2005年米原市の発足により消滅しました。

 

旧春照(すいじょう)小学校春照分校は、国道365号高番交差点を北上し、

伊吹山中学校の2つ北隣にあります。

現在は、伊吹山文化資料館となっております。

名神高速米原IC、関ヶ原IC、北陸自動車道長浜ICから約15分のアクセスです。

 

エントランスの外観

建物は暖色のベージュを基調とした温もりを感じる仕上がりとなっています。

資料館に改装されていますが、構造は旧校舎を引き継いでいるようです。

 

資料館は、文部科学省の「廃校リニューアル50選」に、

滋賀県で唯一選ばれています。

先進的で特色ある取り組みが評価されているようです。
 

山の稜線が力強く描かれていますね。

 

創立百周年記念碑

1975年(昭和50年)建立ですので、百年前は1875年(明治8年)創立ということになります。

分校ですが、歴史のある学校です。

 

庭園に立つ凛々しい姿の二宮尊徳像

 

校舎の裏にまわってみました。

 

校庭に続く土手は、すっかり秋の装い。。

ススキとセイタカアワダチソウの競演です。

 

秋の七草の一つに数えられているススキ

 

伊吹山麓で発掘された横穴式石室が展示されていました。

 

ミミ塚古墳と呼ばれ、滋賀県で最も東にある古墳だそうです。

 

西側から撮った校舎

 

表に戻ってきました。

手前の円盤状のモニュメントは勾玉(まがたま)をモチーフにしたものですね。

勾玉とは、古墳時代に多用された装身具の一種です。

旧伊吹町内では多数の遺跡が発掘されているようです。


中に入って行きます。(入館料は200円です。)

当日は時雨模様で寒かったのですが、訪れた小生一人のために

すべての展示室の暖房を稼働して頂き親切に対応して頂きました。

臼や杵、かまどなど現在では見られなくなった生活用品です。

 

囲炉裏端に佇む夫婦

往時の民家の暮らしを復元しています。

畳の上の羽子板、コマ、けん玉等の玩具や

床にびっしり並んだ下駄は、訪れた子供たちに親しみやすく

遊んだり体験してもらえるようにと置いてあるそうです。

質素な生活の様子よりも、賑やかな演出が目立っていました。。。

 

茅吹きの小屋

藁で製作した蓑、笠、おひつ入れ等が展示されています。

 

資料館友の会の方が、足踏み縄ない機を実演されていました。

稲藁を機械の吸い込み口に1本ずつ手際よく入れています。

ペダルを踏んで、大きな鼓状のリールが回り、編まれた藁が縄となって巻き取られていました。

子供の頃は、このような機械を使わず手で編んでいたそうです。

(お歳は米寿、かつて国鉄の職員として蒸気機関車の運転士をされていたそうです。)

実演ありがとうございます!

 

稲を脱穀して藁にする作業は、昭和40年代までは各地の農村で

見られたものです。機械化されるまでは人力での共同作業でした。

左側の農具は、唐箕(とうみ)です。

唐箕とは、臼などで籾殻をはずしたあと、風力を起して穀物を

籾殻・玄米・塵などに選別するための農具です。

クランク状のハンドルを回して作業します。

 

むしろ織り機

むしろとは、藁(わら)やイグサなどの草で編んだ簡素な敷物です。

主として農閑期に作業してたものです。

 

伊吹山麓の村では、明治から昭和初期まで養蚕が盛んでした。

最盛期には全戸数の85%が営んでいました。

 

良質な原木を利用した炭焼きも盛んで、いろいろな種類の木炭が

展示されていました。

山麓の小学校では、炭焼き体験学習も行われていました。

 

階段の踊り場に現れた巨大な熊

3mはあるでしょうか。

米原市在住の切り絵作家・早川鉄兵さんの芸術作品です。

よく見ると花束を両手に優しい顔をしていますね。。

 

春照(すいじょう)小学校春照分校(1993年廃校)→「伊吹山文化資料館」

滋賀県米原市春照77番地

廃校後は、伊吹山と山麓の自然や文化をメインテーマにした資料館として

1998年3月にオープンしました。

民俗・歴史・考古・自然の各資料を幅広く展示している総合資料館です。

開館前の展示作業は「伊吹山文化資料館友の会」の方々の尽力によるものです。

伊吹山に抱かれた暮らしを今に伝える貴重な宝庫となっています。

 

春照集落と伊吹山

出張や帰省の新幹線の窓からよく見ていましたが、

げんこつ状の厳つい山という印象でした。

伊吹山は冬に日本海側からの季節風の通り道となり、
濃尾平野では、冬季に北西の方角から吹く季節風を「伊吹おろし」と呼ぶそうです。

その頃は、雪化粧した神々しい姿が見られることでしょう。