ひぐまブログ-でっちあげ  Amazon→でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相

著者:福田ますみ
発行:新潮社(2007年1月)


まず「殺人教師」という呼び方に非常に違和感を感じました。
この事件では死人は出ていないのに・・・

「殺人教師」という見出しを最初に使ったのはおそらく週刊文春の記事で、
それに当てつける意味での本書タイトルでのカッコ書きなのかもしれません。

ホントのところはわかりませんが、本書を読む限りでは、「これは実は教師のいじめ・体罰
ではなく家庭内でDVがあったのではないか」と思わせるほど被害者?少年の両親(特に母親)の
異常性が際立っていました。

訴えられた教師の落ち度としては、植草氏の事件のように、一旦「体罰があった」と
認めてしまったことのようです。
彼が認識していたのは「軽く頬をはらった」ぐらいのことだったので、
「ここは認めて謝って丸く収まればいいかな」という意識があったのかもしれません。

しかしその後の校長、教育委員会、マスコミの対応などにより
「軽く頬をはらった」が「体罰」になり、そして「前代未聞の教師によるいじめ」になり
最後は「殺人教師」となってしまったのです。
もう一度言いますが「死人は出ていない」のにです。

そして教育委員会から「停職6ヶ月」の処分を受け、保護者から訴えられ、
裁判ではこの教師の損害賠償は認められなかったものの、ホントに気の毒です。


光市の母子殺害事件での被告弁護人の22人というのも「多いなー」と思いましたけど、
この事件での原告弁護団は何と500人以上だったとか。


本書では一審判決までの内容でした。
その後、最終的に福岡市を訴えた高裁判決で形だけは「原告勝訴」となり
330万円の賠償金をしはらうことになったそうですが、
その他の原告側の主張はことごとく退けられたそうです。

その後、原告弁護団はどう総括したのでしょうか。
事件を煽るだけ煽ったマスコミも総括はしていないようです。


「その後」について著者が以下に書いています。
http://www.shinchosha.co.jp/book/303671/

以下の記事にこの事件の全体像がまとめられていました。
http://www.news.janjan.jp/column/0902/0901316575/1.php