著者:高橋洋一
発行:講談社(2008年3月)
財政やら経済やらについては難しいところもありましたが、
さすがは郵政民営化などの改革の実務担当者だけあって
小泉、安倍政権のウラ話などは「ふーん、なるほど」でした。
財務省のキャリア官僚は東大法学部卒っていうイメージがありましたが、
著者は理学部数学科と経済学部卒という財務省では珍しい経歴で、
システムのほうにも明るかったそうです。
いまタイムリーな、麻生氏が郵政民営化に反対していたあたりのはなしも
出てきていました。
このあたり、「ちょい古読書」も悪くはないなと思わせます。
年金問題について触れていた章に以下のように書かれていたことが印象的です。
「政府は間違える」という性悪説は日本人には馴染まないようで、
多くの人が性善説的な考え方に立って、むやみやたらに信じたがる
自分も含めて、まさにそうだな、と納得してしまいました。
政府や役所がミスをしたとして、まあマスコミの影響が大きいのだとは思いますが、
「役人がそんなミスを犯すなんてけしからん」とか、感情的な反応を示すことが多いですよね。
そのへんはまだ成熟していないのでしょうね。
これもまた「渡り」が話題になってタイムリーですが、役人の天下りに関しても
なかなか普段接することのできない考え方に触れることができました。
マスコミの論調としては、民主党案を取り入れ、天下りを絶対悪として
全面的に禁止すべきだというものが多いと思います。
そして国民も「役人ばかりいい思いをしやがって」と思っている人が大半だと思います。
しかし、天下りを廃止しただけでは、定年まで役所にしがみつく役人が増え
結果的に高給取りが増えて人件費はかえって大きくなってしまうそうです。
絶対悪なのか?必要悪なのか?