『必殺4 恨みはらします』
飾り職人の秀 演-三田村邦彦
「にぎやかに、派手に、ぜいたくに」という方針のもと、「見る人によって面白さが違っている、そんな映画の理想を狙っている」作品。
出演者の誰しも主役級で、映画が「にぎやか」で、対決シーンが「派手」。
長屋のセットは下鴨神社にある森に、なんと三千万円もかけて製作したらしく、まさに「ぜいたく」そのものです。
さて、今回も三田村邦彦のインタビュー記事を紹介しましょう。
時代劇初挑戦の三田村を支えたのは、「必殺」シリーズに長年たずさわってきた、京都映画(現・松竹撮影所)のスタッフたちでした。
必殺仕事人の放送期間中にもかかわらず、ちょうど辞めようとしていた頃、撮影中にカメラマンから『あかん、それ。リズム感あらへん』と言われて、どうしていいか分からなくなっていました。
カメラマンは『これが視聴率悪いと「必殺」は打ち切りになる。だからスタッフ全員必死になっている。レギュラーで未知の力を持っているのはあんただけ。あんたが化けるかどうかに「必殺」がかかっている』と言うんですよ。
『だから、わしらスタッフ全員あんたに賭けている。厳しいこと言ってるけど、それはあんたをどうにかしないと「必殺」は続かへんと思ってるからや。家族全員の飯をあんたに賭けてる。時代劇の芝居はわしらが教える』と。
しかもカメラマンに限らず、誰かが教えてくれるんです。
たとえば照明の助手の方は身軽で、僕が屋根の上を走る場面では、見本を見せてくれる。
それで、『ここで見栄を切って、一、二、と溜めて。それから飛び降りなあかん』って。これがカッコイイ。
スタッフの皆さんに現場でいろいろ教わりました。
それは今でも僕の引き出しになっています。
あの撮影所は、スタッフの全員が演出家なんです。