「仕事人アヘン戦争へ行く
翔べ! 熱気球よ香港へ」
棺桶の錠 演-沖 雅也
歴史上の人物が複数登場するのも本作の特色であり、ナポレオン、国定忠治、平賀源内、遠山金四郎など、異色ゲスト満載です。
極めつけがフィルム出演の「棺桶の錠」。
「仕事人大集合」で海外へ旅立ったはずですが、異国船で危機に陥ったおりくたちを逃がす手助けをしました。
沖雅也は83年6月に死去しており、再編集による出演。
本放映時には「故沖雅也」とテロップが入り、これは長年にわたって「必殺」シリーズを支えてきた、名優への感謝と敬意ですね。
ファンの方々は彼の勇姿を偲んだことでしょう。
無愛想だが、正義感に燃える青年。
普段は口数が少なく朴訥な印象ですが、内面では世の中の不正や、理不尽な行為に対して沸々と怒りをたぎられています。
それゆえ、裏表のない激しい言葉が時折口をつくが、一方で男女や身分を問わず、他人の窮地を無視できない優しい面も持っているのです。
侍・役人嫌いでもあり、時には主水相手にすら、役人への嫌悪と不信をあらわにしていました。
女性関係は、当初、錠に言い寄っていた仲間が「あの人はメスと名のつくものは猫の子一匹近寄らせない」と言ったようにストイック。
が、その実、不器用ながら優しく接することもしばしばで、純情な性格の裏返しだったのかもしれません。
その錠が、前作の「仕事人大集合」では、女衒(ぜげん)の仕事をしていたのにはびっくりしました。
仕置人解散後の錠に、いったい何があったのか……。