「作りたいものが見つからない」

「アイデアが出てこない」

教室に来て数十分、何をやっても先に進めず、パソコンの前で困り果てている子がいます。

その子は以前、教室に来るたびにスクラッチで新しいゲームを開発したり、CADでいつも何かしら斬新なものを設計して、パソコンの前に座ればつねに新しいものを作れる子でした。

以前とのギャップに一番ショックを受けているのが本人のようで、アイデアが出なくなった自分は以前に比べてだめになっちゃったのではないかと思っているようです。

これは小学6年生から中学2年生の子たちの成長の過程で良く起こります。

またテキスト通りにワークを進めないフリースタイルな子に多い現象のようです。

実は学校長の私から見ると、

「この子にもとうとうその時がきたな」

という、逆に嬉しい気持ちになります。

成長のプロセスの中で「アイデアが出ない」と言う言葉は、その子が成長している証なのです。

中学生になった自分自身の知識や経験、思い込み、諦めなどがブレーキやフィルターになってしまい、今まで無制限に出てたアイデアを思うように表現できなくなってしまいます。

こんな時に無理矢理アイデアを出そうとしても自分が苦しいだけです。

だから学校長の私はその子に、

「今はクリエイト(創造)ではなくて、ワーク(作業)をしなさい。人から頼まれたものを作り続けなさい。そうすればいつかまたアイデアが出る日になったとき、きっと思い通りにかたちにできるようになるから」

と伝えるようにしています。

どこもかしこも新鮮だった自分のものづくりの庭を探検し尽くしてしまった子が、自分の庭から出る苦しいけど大切な時間なんですね。

ただ、この成長の壁を越えた子たちは大人以上に驚くほどタフな子になります。

そんな男の子や女の子はミラプロに何人もいます。