アンデシュ・ハンセン著の「運動脳」を読みました。
著者は精神科医なので、うつ病やパニック障害や不安障害、ADHD、統合失調症などが登場しますが、このようなメンタル疾患のみならず、健常な人であっても、運動が脳に非常にポジティブな影響をもたらすことを、科学的根拠に基づきながら、本書で説明しています。
ざっくりと、不安やストレスの軽減、集中力や記憶力の向上、創造性の向上、モチベーションの上昇、知能の向上、のみならず、認知症や高血圧、糖尿病、体内の慢性炎症など老化に基づく病態の改善効果など枚挙にいとまがありません。
メカニズムは完全には解明されてはいないのでしょうが、主に海馬と前頭葉(中でも前頭前皮質)の働きや大きさを増す効果があるようで、脳細胞の肥料ともいうべき、BDNFという物質を介しているようです。
たとえばストレスや不安の大元になっているのは扁桃体という部位ですが、海馬も前頭葉もブレーキとして働いているとか。
運動で海馬が活性化すると、新たな神経細胞が生まれて、各所の連携が強化されて、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの濃度も増えたり。
また、海馬は記憶と深い関係のあるところ。記憶力の強化や認知症予防が期待されるのですね。海馬の成長はほぼ全ての認知機能を高めることにつながるそうです。
創造性に関しては、視床と呼ばれる部位による情報の選別が重要なようですが、この情報を活かすのが前頭葉ということです。ですから、結局は運動が前頭葉を育てて、ひらめきにつながるのでしょう。
ただもう全ての脳の部位に、運動は関わっているようですね。
他の書籍にも、脳を鍛えるには運動しかない、というようなタイトルのものがありました。
結局それは、人類の歴史を振り返ってみれば、よく動く方が生存確率が高かったであろうことによるのではないかとのこと。
動けば動くほどBDNFが脳を育て、狩の集中力、判断力や敵に対する冷静な警戒心を育てたし、そのような個体ほど生き残ってきたのでしょう。
生き残った子孫である我々には、そういうメカニズムが強く組み込まれているのでしょう。
ではどのような運動が脳を育てる上で最適なのでしょうか。
筋トレに関しては悪くはないのでしょうが、まだ明確に脳を育てるという根拠が多くは集まっておらず、ランニングやサイクリングといった有酸素運動が有効とのこと。
特に心拍数が150程度にまで上がる運動がよく、1回20-30分を週3回とかがお勧めだそうです。そしてこれを継続することが大事であると。
しかし、僅か1歩であっても、短時間であっても効果はゼロでなく、歩くだけでもよいと。軽い運動なら週に150分位を推奨していました。
ただし、疲れ果てるほどの運動は、逆効果になってしまう場合もあるとのこと。
よし!明日から走ろう!
そういう気にさせてくれる本でした。
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