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2030年、東京圏の鉄道はどう変わる? 国交省答申案、その内容
2016.04.10 乗りものニュース編集部
http://trafficnews.jp/post/50208/

架空鉄道趣味的には、存在しない路線が沢山出てくることもあってどうしても気になるのが、約15年おきに行われている「交通政策審議会」の答申案です。前回は2000年に発表されていましたが、その次の答申案がついに発表になりました。
前回2000年の答申では「開業が適当(A1)」「整備着手が適当(A2)」「今後検討(B)」という3段階に分かれていましたが、今回は特にそういうランク付けはしていないようです。
しかし、その中でも特に優先順位が高そうなのは、「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」とされた8路線と思われ、都営浅草線の別ルート(押上~新東京~泉岳寺)、羽田空港アクセス線の新設及び京葉線とりんかい線の相互直通運転化、蒲蒲線、京急空港線羽田空港国内線ターミナル駅引上線の新設、つくばエクスプレス東京延伸、都心~銀座~臨海地区地下鉄(つくばエクスプレスに直通)、8号線の豊洲~住吉間新設、白金高輪~品川間の地下鉄が答申されています。やはり羽田空港や臨海地区に重点を置いているのが分かりますね。
都営浅草線の別ルートは、以前は東京駅近辺だけ別路線を建設という案だったかと思うのですが、いつの間にか押上~泉岳寺の全区間が新設となったようです。おそらく空港連絡列車の専用路線になるので、途中に駅はあまり設置されないでしょうね。実現すれば京成にとって長年の夢(?)であったスカイライナーの羽田空港乗り入れが実現する可能性もありそうですが、都営浅草線や京急との乗り入れは一切考慮されていないAE形は使えないので、新形式を作ることになるでしょう。あとは都営や京急に有料特急列車を乗り入れるための環境を用意できるのかという問題もあります。それに、列車密度が高く周辺に適当な土地もない品川~京急蒲田間の複々線化は多分難しいでしょうから、ここがボトルネックになりそうです。かなり昔に川島令三氏の著書で、西馬込~京急蒲田間に新線を作ったほうがいいと書かれていましたが、輸送密度の低い都営浅草線西馬込方面の有効活用にもなるし、速達性を考えるとそれもいいかもしれません。
また、銀座経由の臨海地区方面地下鉄構想ですが、運営主体はどうするのでしょうか。運賃のことを考えると、既存の地下鉄のネットワークに組み入れて東京メトロか都営で運営するのがベストですが、両者とも簡単に引き受けたがらなそうですよね。

このほかには、「地域の成長のためのネットワーク拡充に資する鉄道ネットワーク」として16路線が挙げられていますが、気になったものをいくつか挙げさせていただきます。
まずは大江戸線の東所沢延伸ですが、以前は大泉学園町までしか書かれていなかったのが昨年あたりから埼玉県内延伸を目指す動きが活発化してきており、それが盛り込まれた形といえます。埼玉県内の沿線自治体は、別運賃な上に高額でせっかく開業したのに使いにくい路線になっている埼玉高速鉄道の反省からか、全区間東京都交通局による運営を希望しているそうですが、ちょっとだけ都外に出た都営新宿線本八幡駅のような例とは異なるので、全区間都営になるのは難しいかもしれません。
そして個人的に関心があったのは、同じく埼玉県内中心の路線で、8号線の豊洲~亀有~野田市間ですが、これは前回の答申で2015年までに「整備着手が適当」とされてきましたが、いまだに何も決まっていないので着工の目途すら立っていません。また、八潮~野田市間のみの先行整備&八潮以南は不要(八潮から都内方面はつくばエクスプレスに直通運転でいいとのこと)という考えの野田市と、何としてでも区内を通したい足立区や葛飾区など、自治体によって温度差もあるようで、それがまとまっていない状況では、とても動けないでしょう。
また、所変わって神奈川県に移りますと、相鉄いずみ野線の湘南台~倉見間延伸とありますが、これは東海道新幹線の新駅を倉見に誘致したいという動きに連動していると思われます。JR東海は現時点では新駅を設置する余裕はないとのことですが、リニア中央新幹線開業で速達型の列車をリニアに移行させると余裕ができるので、それ以降であれば可能性はあるかもという考えのようです。ただ、倉見に新幹線新駅だとリニアの橋本駅と競合する可能性もありますので、JR東海があっさりOKするかは微妙でしょう。
今回の答申案に盛り込まれた路線が、2030年までにどれだけ実現するか、今後も要注目ですね。


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