６/20の東近江市、蒲生郡日野町へのお城巡り4城目は「日野（中野）城」（滋賀県蒲生郡日野町）です。
「音羽城」から車で約１０分弱で到着しました。１３年前の訪城時には「日野商人街道」沿いを散策しながら城跡へ入りましたが、今回は車であったことから日野川ダム駐車場に車を止め、南西側からのアプローチとなりました。
日野川ダムマップ（現在地が駐車場） ↓
「日野川ダム」 ↓
「日野城」の歴史と城主については、１５２３年に前回ご紹介した「音羽城」が廃城となったことから「蒲生氏」の新たな居城として「中野」の原野に築かれました。
「蒲生定秀」「賢秀」「氏郷」三代の居城で、「氏郷」が誕生したお城であり、また１５８２年の「本能寺の変」の際には、「賢秀」と「氏郷」が共同で「織田信長」の妻子を保護したお城としても有名です。
１５８４年に「氏郷」が「伊勢松阪」に移封となると当城は廃城となりました。
「日野城」の立地と縄張りについては、旧日野川の突き出た場所に築かれ、「本丸」の周囲には大規模な堀と土塁を巡らせた約１００ｍ四方の城館の「平城」でした。特に北側の「大手」と伝わる辺りにはＬ字型の「土塁」と「堀」を備えていました。
「縄張図」（現地に掲出、丁度モミジの枝辺りが現存の「土塁」箇所） ↓
「日野商人街道」から細い道を入り込んだ突当りには「中野城跡」碑が立ち、その道に沿って左手に曲がっていくと正面に「うなぎ 本丸」という店舗が営業していました。
「中野城跡」碑（「本丸」跡に立つ） ↓
「本丸」跡で営業している「うなぎ 本丸」の店舗 ↓
まさにその界隈は「本丸」跡であった敷地で、駐車場も「日野川ダム」湖畔にあり、その脇には大きな「日野城跡の解説と縄張図」が掲出されていました。
「本丸」跡となっている場所は、駐車場と店舗、畑地と住宅地になっていて、遺構として「蒲生氏郷」の「産湯の井戸」がコンクリートの屋形で保護されています。
「本丸」跡地の駐車場 ↓
「日野川ダム」遊歩道の入口（この辺りも「本丸」跡だったようです） ↓
「蒲生氏郷」の「産湯の井戸」 ↓
「日野城」の北側を守備していた非常に高さがある「土塁」の一部が残され、間は「堀切（切通かな？）」によって分断されています。分断された「土塁」上にはそれぞれ北西側の上には「稲荷神社」が、南東側上には「涼橋神社」が建っています。
「日野城」の非常に高さがある「土塁」 ↓
「堀切（切通かな？）」（石垣は後世によるものだと思われます） ↓
「稲荷神社」は、隣接する「仁正寺陣屋」立藩（１７０１年）に際して、藩主の「市橋氏」が藩庁の鬼門であるこの場所に藩の長久を祈念して建てた稲荷社です。
北西側の土塁上には「稲荷神社」 ↓
また「涼橋神社」は、「仁正寺陣屋」の藩主「市橋氏」の氏神として１７２０年に建てられた神社です。この両神社はコンクリートの橋によって「堀切」上を結び行き来できるようにしています。
南東側の土塁上には「涼橋神社」 ↓
「堀切（切通？）」上を跨ぐコンクリート製の橋 ↓
「堀切（切通？）」上を跨ぐコンクリート製の橋 ↓
この「土塁」北面には、ビッシリと川原石のような小さ目の石による「落し積み（谷積み）」が３～４段積まれていますが、積み方の時代推定からは近世に積まれたモノのようです。
「土塁」北面の川原石のような石による「落し積み（谷積み）」 ↓
しかし、薄暗い木陰の中においては、「堀切（切通し）」「堀切の間の石垣」「３～４段の落し積み石垣」「稲荷神社の赤い鳥居」の光景が見事に映えて見えます。
薄暗い木陰の中の光景が見事 ↓
「土塁」北側には「堀」が池化しているのと一部「堀」の水が残っている所が見られ、その間には「土橋」が架かります。「土橋」を渡った敷地が、次回のブログで紹介する「仁正寺陣屋」跡になります。
「土橋」下の石積み（藩政時代のモノか？） ↓
「堀」が池化したものか？（「土橋」の東側） ↓
「堀」跡の湿地帯（「土橋」の西側） ↓
「日野（中野）城」は、豊臣政権下の大大名「蒲生氏郷」の生誕地であり居城もしていたお城にも拘わらず、１９６５年の「日野川ダム」建設で大半が失われてしまったことは非常に残念なことだと思いました。もし現在であれば、このようなことが許されない事業だっただろうな～と思いました。
「日野川ダム」（南方向） ↓
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