本日は、肥前国を、主家であった「龍造寺家」に取って代わった「鍋島直茂」を藩祖とし、その居城である「佐賀城」（佐賀県佐賀市）を紹介します。
本丸御殿正面と鯱の門
「佐賀城」の歴史と城主について触れておきます。
「鍋島家」は、九州を島津家と大友家と共もに三分していた「龍造寺家」の家老を務めていましたが、龍造寺家の後継ぎが暗寓であったので「直茂」は龍造寺家一門から領国政治の委任を受けるという変則的な形となりました。そして、「直茂」は、「豊臣秀吉」のフォローで「島津家」を追い払う策をとります。
その後、「秀吉」は「直茂」の軍才能を高く評価し、朝鮮出兵でも「龍造寺家」に代わって活躍したことから、出兵後の肥前国は鍋島家に任せられ豊臣政権の一躍を担うことになります。
関ケ原の戦いでは、「直茂」自身は、「徳川家康」と「石田三成」両方を天秤にかけて連絡をとりあいながら、息子「勝茂」には西軍に参加させますが、「家康」が素早く優位に進撃しているという情報を得て、東軍へ鞍替えして西軍の拠点であった「立花宗茂」の柳川城を攻めました。その結果、本領を安堵されましたので、「家康」に恭順の意を示すために、「勝茂」の弟を江戸に人質として置くことで幕府から好感を得ました。
「龍造寺家」を主家として立てることを幕府に申告しましたが、「龍造寺家」を継ぐ者が相次いで亡くなったことから、「勝茂」がその家督を継ぐことを幕府から承認され、その後は幕末まで鍋島家がこの地を治めることとなります。
幕末には、「鍋島直正（閑叟-かんそう）」が海外情報に通じた英明な人で、反射炉など科学技術や砲術技術の導入、蒸気船や西洋帆船の基地の設置など様々な近代化を推進したことから、明治維新では、「薩長土肥」と言われて明治政府で活躍するメンバーを輩出しました。
「佐賀城」の縄張りは、「本丸」と「二の丸」を「三の丸」や「西の丸」が梯郭式に取込み、広大な水堀で囲う平城です。
正方形の「本丸」の北側と西側は石垣を用いますが、その他はほぼ直線の土塁を築いています。
本丸北西隅には、五重「天守」を上げていましたが１７２６年に焼失した後は、幕府に配慮して「天守」をあげずに現在まで天守台が残るのみです。
南堀（城南橋より西）
西堀
北堀
天守台（五層天守が聳えていた、手前は本丸入口石垣）
「本丸」の西側は「三の丸」で、その西側には「西の丸」になっていますが、その北側には重臣屋敷が拡がっていたようです。
現存する建造物「鯱の門」と「続櫓」は、重要文化財に指定されています。
「鯱の門」に併設の「続櫓」の外観は一階ですが、内部は二階になっていて、横側から「横矢を掛け」ています。
また門の壁は、柱の形を見せる「真壁造り」となっています。また、内側には「番所」も残ります。
鯱の門と続櫓
鯱の門裏と番所
鯱の門の鯱（しゃちほこ、目張りが可愛い）
「本丸御殿」は、２００４年に木造で御殿の一部が復元され、全国の御殿復元の足掛かりとなりました。
御玄関、御式台、外御書院、御三家座、屯之間（たまりのま）、御小書院、御料理間が復元され、「御座間」は移築されていたものを元の場所へ再移築されました。また、「亀甲積み」の「南西隅櫓台」や土塁も復元されています。
復元本丸御殿正面
御納戸、御料理の間
右から外御書院、御仕組所
御仕組所・屯之間
御小書院
本丸御殿外御所院（二之間から四之間）
本丸御所院一之間
本丸御殿外御所院廊下(御三家座へ）
御座間（再移築復元）
御座間・堪忍所内（再移築復元）
御座間内（再移築復元）
復元した土塁と南西隅櫓台（本丸御殿の南側）
本丸全景（南西隅櫓台から臨む）
「御玄関」は復元されていますが、本物は、「龍泰寺の本堂」に移築されて使用されているそうです。
復元の機会に、「御座間」のように元の場所へ再移築されていたら、どのようになっていただろうかなと、密かに期待もしますが、ただ現状使用しているものを、ごっそりと移築することも、また勇気のいることではあると思います。
佐賀城玄関式台移築（現 龍泰寺の本堂）
復元した本丸御殿御玄関
「鍋島家」は、「直茂」の次男「忠茂」が「鹿島陣屋」を拠点として家を興します。また、「直茂」の孫で「勝茂」の息子達「元茂」は、「小城陣屋」を拠点に、また「直澄」は「蓮池陣屋」を拠点として、それぞれ家を興します。次回のブログでは、順次これらの陣屋を紹介していきます。
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