洞窟を抜けた先は鬱蒼とした森だった。
まぁ密入国をするんだからおおっぴらに開けた所に出るよりは余程良いか。

わたしは改めて地図を見直す。
案内人の話では洞窟の出口はここら辺のはずだから…。
大体の位置を把握するとわたしはトラを呼び出す。

…このトラが魔法生物で本当に良かった。
ただの生き物だったらあの洞窟は通れないだろうから、置いてけぼりにするしかなかっただろう。

わたしはトラに跨り程近い所にあるグリフィンバラと言う都市を目指す。
とは言っても目的地はその都市ではない。
大都市ではあるんだけど、この旅に関して言えばただの目印の一つでしかない。
目指すは更にその北にある小さな宿だ。
リオシラスの派遣した調査隊と言うのがその宿を経由したことは分かっている。
その宿で何か足取りを掴めれば良いのだけど…。

………

その宿で調査隊の事を聞いてみると、宿の親父さんはすんなりと教えてくれた。
酒場で聞き込み 
宿に宿泊した調査隊は土地に不案内なこともあって案内人を雇い、西に向かったと言う。
うん、オークの国はここから西にあるんだから至極当然か。
つまりここまではまだ何のトラブルも無かった、ってことになる。
一体どこで行方不明になるような事態が起こったのか…まだ足取りを追う必要があるわね。