最後のブラッドサンプルを持ち帰る。
「遂に集まりましたね」
わたし達がサンプルを集めている間も海斗は検証を続けていた。
その結果が遂に形になる時が来た。
サンプルを持って開発室に入ると…そこにはしずなが居た。
千代田大本営の件で謹慎になったと聞いていたけど、行動の制限はそれほど厳しくないらしい。
まぁ隊長自身「こんな時に戦力を削るのはマゾヒストのやることだ」と声を大にして公言しているくらいだからなぁ。
単に出撃禁止と司令部からの外出を禁じられただけで司令部内に居れば何をしてても問題無し、と言うことになるようだ。
ならば、と兼ねてから進めていた急老症対策の研究を集中してやってしまおう、と言うことの様だ。
デスヘイル対策は前にも聞いたように武器コードの形を採ることになったようだ。
武器コードの名称は「Xブラッド」。
わたし達としずなが見守る中、海斗がサンプルから抽出した要素で一振りの、錫のようなものを形成する。
これがあればあのデスヘイルを打ち払えるのか。
…でも武器ってことは、持ってる人以外はどうなるのかしら?
そこら辺の事を聞いてみると、どうもわたしがイメージしたのとは効果が違うらしい。
ブラッドサンプルから抜き取った黒騎士の因子を周辺に展開してわたし達も黒騎士本人であると誤認させるものだと言う。
このXブラッドが完成したことで後は黒騎士を補足するのみ、と言う段階に到達した。
だが黒騎士自体は神出鬼没。その存在を捉えるのは難しいだろうと言うのが空斗隊長やしずなの見立てだ。
そこでわたし達が探すのは黒騎士の拠点。
拠点を割出し、そこに黒騎士がいるならそのまま決戦、居ないなら待ち構えるって寸法だ。
「ふぅ…」
何にせよ作戦は明日から。
それに拠点がどこにあるのか…当てが全く無いわけではないけど、ほぼ手がかり無しの状態だ。
まだまだ地道な探索がしばらく続きそうね。
となれば…今日のところはここまでにして休ませてもらうとしますか。