「特務隊エクスへようこそ。俺が隊長の佐伯空斗だ」
飛び蹴り兄ちゃんがそう名乗り、その特務隊とやらについて説明を始めようとした正にその時だった。

「特務隊エクスにようこそ。これからの健闘に期待するわ」
突然壁のディスプレイに若い女の人が写るとわたしに向けてそう言い放った。
一体何なの?わたしその特務隊に入ってることになってるの?
「おい、こいつは今目が覚めたところでまだ何の説明もしてないぞ」
「は?何とろくさいことしてんのよ」
ディスプレイに写ってる女は特務隊エクスの北米支部長、御船アリスだそうで。
そのアリス嬢から特務隊について説明がなされる。

話しを聞くに…ここまで関わってしまったら足抜けはもう無理そう、と言うことだけは分かった。
わたしって何だかこんなのばっかりだなぁ。盗賊ギルドと言い、闇の一党と言い。何でこうなるのかしらね?本当に不思議でならない。

そんな中で緊急連絡が入ってくる。
何でもここの副隊長が作戦中に所在不明になってしまったとか。
「どうします、兄さん」
弟から対応を求められる隊長。
その隊長がわたしを見る。
「こいつをあいつらと組ませろ。そして捜索任務に出せ」
「そんな、いきなり任務なんて無茶ですよ」
空斗と海斗、兄弟で揉めるが、結局は兄が押し切ってしまう。

そして二人の女の子が連れてこられたんだけど…
「あれー?ひかりんじゃん!」
「あら、光里さんじゃないですか」
その二人は知った顔で。
「ちょっと、あんた達…こんなとこで何してるの?」
「何、と言われましても、ねぇ?」
おっとりと答えたのが塚本春花。
わたしよりちょっと年上でわたし達のお姉さん役、とでも言おうか。
「あたし達もエクスの隊員なんだよ!すごいでしょ!」
元気一杯なのが寺川穂波。
かなり年下で、わたし達の妹分。
二人ともわたしの幼馴染だ。

「わぁ…今日からはひかりんも一緒なんだね!」
穂波は諸手を上げて大喜び。
「今まで二人で苦労してたんですけど、光里さんがいれば百人力ですわね」
春花もわたしの参戦を信じて疑わない。
はぁ…何でこうなるかな。
これじゃ二人を置いてさよなら、ってわけにもいかないじゃない。
かくしてわたしは特務隊エクスに身を寄せることになってしまった。