これで漸く最後の一通。
レヤウィンで推薦状を貰えれば晴れて大学入学だ。
でもここの支部長ダゲイルは何だか体調が優れないのか、わたしに課題を提示してくれない。
そんなある日のこと。
レヤウィン支部の錬金術師でクリスタルコレクターを自称するカジートのスドラッサから個人的な頼まれ事を引き受けた。
「ギャリダンの涙を探してるんだ」
何でもティアドロップ型の青く澄んだ結晶らしく、しかもギャリダンと言う騎士が流した涙が本当に固まったものだと言う。
へぇ…本当にそんなものがあるならちょっと見てみたいわね。
帝都の大学にこの話に詳しい錬金術師がいると言うので、入学は果たしてないけど学校見学を兼ねて帝都まで足を運んでみた。
「貴女もアレを探してるの?まぁ貴女が初めてってわけでもないし、隠し立てするようなものでもないからね」
そう言うと大学の錬金術師ジュリアンが一つの伝承を簡略に教えてくれた。
かつて旱魃が起こり、水不足になった領地を救うべく立ち上がったギャリダン。
賢人から無限に水の湧き出る水瓶の話を聞き、それを取りに行ったんだけど水瓶の番人にやられ氷漬けにされてしまったんだとか。
その時領地を救えない自分の不甲斐なさを悔いて流した涙が結晶になった、と。
「ま、こんな感じの話よ。細かいことが知りたかったら本屋を見てみたら?確かこの前その本を見かけたわよ」
今聞いた話だけじゃその水瓶とやらをどこに取りに行ったのかが分からない。
商業区にある大きな書店でその伝承について書かれた本を買ってみる。
本の題名は「悲運の騎士」。概要はさっき聞いた通りだけど…ふんふん、成程。どうもフロストファイアと名付けられた洞窟らしいわね。
でもその洞窟は水瓶の在り処に至る扉が凍り付き普通では通れないみたい。
本にはそれについても書かれていて、氷の塩鉱石を精製したものが必要になるみたい。
普通の塩鉱石じゃ駄目なのかしらね?
結構情報も集まってきたけどその生成された塩鉱石はどうしようかしら?
取り敢えず大学に戻ってジュリアンに相談してみると丁度その精製した塩鉱石が手元にあると言う。
何でこんなもの精製してるのかしら?見た感じ効能が良くなってる、とかそう言う変化は感じられない。
まぁ良いか。
わたしは一つ買い取ると伝承にあるフロストファイアに向かう。
本にも書いてあったけど、寒さが酷過ぎてちりちりと焼けるような感覚を覚える程らしい。
そんなに寒いのか…あまり長居したくはないわね。
洞窟は帝都から北の山中にあり、正に秘境と言った趣。
そして…話に聞いた通り本当に寒い。
洞窟自体はそんなに長くも無いし入り組んでも無いのですぐに奥まで辿り着ける。
そして扉を封じている氷を精製塩鉱石の力で中和すると…その先は極寒の世界だった。
これに比べたらブルーマなんて春の陽気みたいなものだ。
刺さるような寒さで肌が痛くなる。
そしてその秘境の奥に…いた。かなり大きな氷の精霊。
そこらで見かける物とは比べ物にならない程の大物だ。
ギャリダンもアレにやられたのかしら?
念の為用意した炎の魔力を帯びた弓を取り出すとそれに矢を番え、放つ!
効果は覿面。氷の精霊は溶け落ちて地面の氷と同化する。
さて、と。それじゃ手早く探しますか…。
涙の形をした結晶、かぁ…一面凍り付いてるし上手く見つかると良いんだけど。
わたしは寒さに震えながら地面をしげしげと見て回ると…あった。
確かにティアドロップ型の結晶が落ちてる。
でも…普通に涙を流してもこんな形にはならないわよねぇ?
一体何なのかしら?
それがそこらに点々と散らばっていたので、集めて回ると…わたしはあるモノに気付いた。
この秘境の中心部と思われる場所は氷で小高い丘みたいになってるんだけど…その中に人が閉じ込められていた。
恐らくこの人こそが騎士ギャリダン…伝承は本当だったってことか。
わたしはその気高く勇敢な騎士に祈りを捧げるとフロストファイアを後にした。
「おぉぉ!これが!素晴らしい!」
レヤウィンに戻りスドラッサに集めてきた五粒の結晶を渡すと狂喜乱舞。
「これはコレクションの中でも最高峰の輝きだ!」
わたしはお礼を受け取ると足早に家に帰る。
懐も温まったことだし、冷えた体も暖めないとね。
今夜はキツイやつで一杯やっちゃおうかな。
レヤウィンで推薦状を貰えれば晴れて大学入学だ。
でもここの支部長ダゲイルは何だか体調が優れないのか、わたしに課題を提示してくれない。
そんなある日のこと。
レヤウィン支部の錬金術師でクリスタルコレクターを自称するカジートのスドラッサから個人的な頼まれ事を引き受けた。
「ギャリダンの涙を探してるんだ」
何でもティアドロップ型の青く澄んだ結晶らしく、しかもギャリダンと言う騎士が流した涙が本当に固まったものだと言う。
へぇ…本当にそんなものがあるならちょっと見てみたいわね。
帝都の大学にこの話に詳しい錬金術師がいると言うので、入学は果たしてないけど学校見学を兼ねて帝都まで足を運んでみた。
「貴女もアレを探してるの?まぁ貴女が初めてってわけでもないし、隠し立てするようなものでもないからね」
そう言うと大学の錬金術師ジュリアンが一つの伝承を簡略に教えてくれた。
かつて旱魃が起こり、水不足になった領地を救うべく立ち上がったギャリダン。
賢人から無限に水の湧き出る水瓶の話を聞き、それを取りに行ったんだけど水瓶の番人にやられ氷漬けにされてしまったんだとか。
その時領地を救えない自分の不甲斐なさを悔いて流した涙が結晶になった、と。
「ま、こんな感じの話よ。細かいことが知りたかったら本屋を見てみたら?確かこの前その本を見かけたわよ」
今聞いた話だけじゃその水瓶とやらをどこに取りに行ったのかが分からない。
商業区にある大きな書店でその伝承について書かれた本を買ってみる。
本の題名は「悲運の騎士」。概要はさっき聞いた通りだけど…ふんふん、成程。どうもフロストファイアと名付けられた洞窟らしいわね。
でもその洞窟は水瓶の在り処に至る扉が凍り付き普通では通れないみたい。
本にはそれについても書かれていて、氷の塩鉱石を精製したものが必要になるみたい。
普通の塩鉱石じゃ駄目なのかしらね?
結構情報も集まってきたけどその生成された塩鉱石はどうしようかしら?
取り敢えず大学に戻ってジュリアンに相談してみると丁度その精製した塩鉱石が手元にあると言う。
何でこんなもの精製してるのかしら?見た感じ効能が良くなってる、とかそう言う変化は感じられない。
まぁ良いか。
わたしは一つ買い取ると伝承にあるフロストファイアに向かう。
本にも書いてあったけど、寒さが酷過ぎてちりちりと焼けるような感覚を覚える程らしい。
そんなに寒いのか…あまり長居したくはないわね。
洞窟は帝都から北の山中にあり、正に秘境と言った趣。
そして…話に聞いた通り本当に寒い。
洞窟自体はそんなに長くも無いし入り組んでも無いのですぐに奥まで辿り着ける。
そして扉を封じている氷を精製塩鉱石の力で中和すると…その先は極寒の世界だった。
これに比べたらブルーマなんて春の陽気みたいなものだ。
刺さるような寒さで肌が痛くなる。
そしてその秘境の奥に…いた。かなり大きな氷の精霊。
そこらで見かける物とは比べ物にならない程の大物だ。
ギャリダンもアレにやられたのかしら?
念の為用意した炎の魔力を帯びた弓を取り出すとそれに矢を番え、放つ!
効果は覿面。氷の精霊は溶け落ちて地面の氷と同化する。
さて、と。それじゃ手早く探しますか…。
涙の形をした結晶、かぁ…一面凍り付いてるし上手く見つかると良いんだけど。
わたしは寒さに震えながら地面をしげしげと見て回ると…あった。
確かにティアドロップ型の結晶が落ちてる。
でも…普通に涙を流してもこんな形にはならないわよねぇ?
一体何なのかしら?
それがそこらに点々と散らばっていたので、集めて回ると…わたしはあるモノに気付いた。

この秘境の中心部と思われる場所は氷で小高い丘みたいになってるんだけど…その中に人が閉じ込められていた。
恐らくこの人こそが騎士ギャリダン…伝承は本当だったってことか。
わたしはその気高く勇敢な騎士に祈りを捧げるとフロストファイアを後にした。
「おぉぉ!これが!素晴らしい!」
レヤウィンに戻りスドラッサに集めてきた五粒の結晶を渡すと狂喜乱舞。
「これはコレクションの中でも最高峰の輝きだ!」
わたしはお礼を受け取ると足早に家に帰る。
懐も温まったことだし、冷えた体も暖めないとね。
今夜はキツイやつで一杯やっちゃおうかな。