「獲物に呼び立てられるとはな…お前は狐の口の前に座する兎か?」
漸く見つけた。ハーシーンの祠だ。
ハーシーン 

これだけデイドラ王の祠があるんだから、わたしが信奉するハーシーンの祠も必ずあるはずと探し回っていた。
ハーシーンは狩人の王と呼ばれる存在。
わたしは呪術師だけど、弓を手にする以上はやはりそう言った存在に敬意を払う。
その祠がブラヴィルから西の深い森の中にあった。

「お前に狩りを命じても良いぞ、小さき者よ。我が余興としてな」
そう言うとこの森の最深部、ハルケイングローブに居るユニコーンを狩れと言う。
そしてその証として角を持ち帰れ、と。
ユニコーン、かぁ。
伝説としては余りに有名だけど、本当にいるのかしら?
それに出来れば角は持ち帰って霊薬創りの実験材料に使いたいところだけど…まぁ仕方ないわね。

わたしは弓を手にすると森に踏み込む。
昼なお暗い森の中を足音を抑えて進む。
中々ユニコーンは見付からないけど、大型の怪物はやたらと居る。
さっきからミノタウロスの中でも特に大物があちこちで出くわす。

そして…わたしは遂にその伝説の白馬を捉えることが出来た。
わたしは静かに息を吸い込むと呼吸を止める。
弓に番えた矢は乱れることなくユニコーンに狙いを定める。
放たれた矢は吸い込まれるように角の付け根に突き刺さる!
普通の生き物ならここで終わっていただろう。
でも相手はあのユニコーン。
凄まじい治癒力で怪我をものともせずにこちらに突進してくる。

わたしは転がる様にその大きな角での一突きを躱し、新たな矢を番える。
大丈夫、落ち着いて。
次は足を射抜く。
馬にとって足は急所だ。
あの強烈な突進を止めるためにも有効な一撃になるはず。
方向転換して改めてこちらに突っ込んでくるその瞬間を逃さず射抜く。
流石のユニコーンもこれにはたまらず転倒する。
その好機を逃さず、わたしは矢を雨の様に撃ち込む。

「良いぞ狩人よ。供物を見せてるが良い。獲物の肉を味わい、血を飲んだのか?狩った獲物を無駄にしてはいけない。期待に応えたお前にはこれを授けよう」
そう言うとわたしは一着の皮鎧を授かる。
これは…救世主の皮!ハーシーンのアーティファクトでも最高峰の一品。
その祝福に感謝し、わたしは祠を後にした。