「お見事です。では次で最後ですね」
砦跡から戻ったわたしを迎えたオチーヴァは無常にも更に暗殺仕事を斡旋する。
「ところでパーティはお好きですか?」
「パーティ?まぁ別に嫌いではないけど」
「それは何よりですね」
一体何の話しかしら?と思って聞いてみるとどうも五人もの暗殺対象をパーティに招いているそうだ。
そしてわたしはその五人を全員始末しないといけないと来た。
「来たか」
今回のパーティ会場となっているスキングラードのサミットミスト邸に到着すると一党のメッセンジャーが待ち構えていた。
そしてまず鍵をくれる。
「お前が中に入ったら鍵をかける。これは参加者全員が了承している。そしてお前は全て終わったらその鍵で出てこい」
だそうだ。
何でもこの屋敷で宝探しパーティが催されることになっているらしい。
もちろんそんなのは出鱈目でお宝なんて無い。
そして外から鍵をかけられ、標的は逃げることも出来ない。
わたしはその参加者を全員、そしてわたしが暗殺者であることを気付かれる事の無いよう始末しないといけない。
はぁ面倒臭いなぁ…そこまでお膳立てが整ってるなら荒くれを何人か送り込んで暴れさせれば良いじゃない。
わたしは溜息と共に屋敷に入る。
「お?来たか。これで全員そろったな」
と言うことでお宝探しの始まり。
参加者に統一性はなく、貴族のお坊ちゃまやノルドの酔っ払い、やたらと目つきの鋭いレッドガードの初老男性が居るかと思えば品の良い老婦人や見目の良いダンマーの若い女性もいる。
この五人にわたしの事を感付かれる事無く、か。骨の折れることね。
とにかくこの五人を分断しないといけない。
基本パーティってことなので、わたしは殺しの事は横に置いて皆とお喋りに興じてみる。
するとまだ出会って間も無いだろうにある程度人間関係と言うモノが出来上がってるようだった。
ダンマーの若い女は貴族のお坊ちゃまに一目惚れ、逆にお坊ちゃまもダンマー女に興味があるようだった。
まずはここらへんから、かしら。
ダンマー女かお坊ちゃまのどっちかを上手く誘い出せれば…と考えていたら品の良い老婦人が話しかけてきた。
「どうかしら?一緒に宝探ししてみませんか?」
一人ではそう言ったものを探すのに慣れてないからわたしと組んで宝探しをしたいと言う。
ふむ、これも使えるわね。
わたしは老婦人に地下を探してみないかと提案する。
今のところ皆、屋敷の一階、二階の棚や装飾品を探っている。
地下にはまだ誰も行っていない。
「なるほどねぇ。確かに地下の方が隠されてるって感じがしますものね」
老婦人も納得して地下室に向かう。
わたしは地下室に行く前にダンマーの女に話しかける。
「あの人、貴女が気になってるみたいよ?良かったわね」
「え?本当?じゃぁ少し強引に行ってみた方が良いのかしら?」
「うん、良いんじゃない?」
「わかった。じゃぁ今夜訪ねてみるわ」
さて、こっちの二人はどうなるかしらね。
男を待ってるダンマー女が一人の時に仕掛けられれば良いけど、よしんばそうはならなくても二人を一纏めにしておけば他の人をどうにかできるかもしれない。
わたしは取り敢えず地下室に入った。
そして早速あちこちひっくり返してお宝を探している老婦人の背後に立つと…。
「ご免ね」
その後頭部には矢が突き立っていた。
そして夜。まだ老婦人が死んだことに誰も気付いていない。
わたしはお坊ちゃまに割り当てられていた寝室をそっと覗きこむと…ダンマーの女が一人待ちぼうけしていた。
まだ扉が開いた事に気付いてもおらず、こちらに背を向けている。
絶好の好機。
あと三人、男ばかり残ったわね。
この三人はお互いを胡散臭く思ってる節があり誰かの名前を使っておびき出す、とかそう言うのは難しそうね。
そう思って戸棚を漁るふりをして皆の様子を見ていると、レッドガードの老人が流石にくたびれたのか寝室へと向かった。
お坊ちゃまも酔っ払いもそれを見て出し抜く好機と思ったのか、一層活発にお宝探しに励みだす。
…
わたしは少し間を置いてから老人の部屋を覗き込むと…やはり疲れたのか寝息を立てていた。
そして翌日。
流石に三人も殺されていては殺人事件が起こっていることに気付いたらしい。
酔っ払いが恐怖のあまり朝から大酒をかっ食らっている。
そして何を思ったのか…急に飾られていた剣を手に取るとお坊ちゃまを斬り捨ててしまった。
「お前だろう!お前がやったんだろ!そうだろ!」
そして執拗に息絶えた亡骸を膾切りにする。
わたしはその一心不乱な様子を眺めながら最後の矢を放つ。
「見事なお手並みですね。ただ五人を殺すだけでなく、貴女の立ち居振る舞いは恐怖の使者そのものでしたよ」
オチーヴァはここまで一気に仕事を片付けたわたしを労うと「秘術」だと言ってわたしにまじないを掛ける。
どうやらわたしの、そう言う類の潜在能力を引き出すおまじないみたいだけど…正直あんまり気持ち良いモノでは無いわね。
マジカがより強くなるとかだったら大歓迎なんだけどね。
砦跡から戻ったわたしを迎えたオチーヴァは無常にも更に暗殺仕事を斡旋する。
「ところでパーティはお好きですか?」
「パーティ?まぁ別に嫌いではないけど」
「それは何よりですね」
一体何の話しかしら?と思って聞いてみるとどうも五人もの暗殺対象をパーティに招いているそうだ。
そしてわたしはその五人を全員始末しないといけないと来た。
「来たか」
今回のパーティ会場となっているスキングラードのサミットミスト邸に到着すると一党のメッセンジャーが待ち構えていた。

そしてまず鍵をくれる。
「お前が中に入ったら鍵をかける。これは参加者全員が了承している。そしてお前は全て終わったらその鍵で出てこい」
だそうだ。
何でもこの屋敷で宝探しパーティが催されることになっているらしい。
もちろんそんなのは出鱈目でお宝なんて無い。
そして外から鍵をかけられ、標的は逃げることも出来ない。
わたしはその参加者を全員、そしてわたしが暗殺者であることを気付かれる事の無いよう始末しないといけない。
はぁ面倒臭いなぁ…そこまでお膳立てが整ってるなら荒くれを何人か送り込んで暴れさせれば良いじゃない。
わたしは溜息と共に屋敷に入る。
「お?来たか。これで全員そろったな」
と言うことでお宝探しの始まり。
参加者に統一性はなく、貴族のお坊ちゃまやノルドの酔っ払い、やたらと目つきの鋭いレッドガードの初老男性が居るかと思えば品の良い老婦人や見目の良いダンマーの若い女性もいる。
この五人にわたしの事を感付かれる事無く、か。骨の折れることね。
とにかくこの五人を分断しないといけない。
基本パーティってことなので、わたしは殺しの事は横に置いて皆とお喋りに興じてみる。
するとまだ出会って間も無いだろうにある程度人間関係と言うモノが出来上がってるようだった。
ダンマーの若い女は貴族のお坊ちゃまに一目惚れ、逆にお坊ちゃまもダンマー女に興味があるようだった。
まずはここらへんから、かしら。
ダンマー女かお坊ちゃまのどっちかを上手く誘い出せれば…と考えていたら品の良い老婦人が話しかけてきた。
「どうかしら?一緒に宝探ししてみませんか?」
一人ではそう言ったものを探すのに慣れてないからわたしと組んで宝探しをしたいと言う。
ふむ、これも使えるわね。
わたしは老婦人に地下を探してみないかと提案する。
今のところ皆、屋敷の一階、二階の棚や装飾品を探っている。
地下にはまだ誰も行っていない。
「なるほどねぇ。確かに地下の方が隠されてるって感じがしますものね」
老婦人も納得して地下室に向かう。
わたしは地下室に行く前にダンマーの女に話しかける。
「あの人、貴女が気になってるみたいよ?良かったわね」
「え?本当?じゃぁ少し強引に行ってみた方が良いのかしら?」
「うん、良いんじゃない?」
「わかった。じゃぁ今夜訪ねてみるわ」
さて、こっちの二人はどうなるかしらね。
男を待ってるダンマー女が一人の時に仕掛けられれば良いけど、よしんばそうはならなくても二人を一纏めにしておけば他の人をどうにかできるかもしれない。
わたしは取り敢えず地下室に入った。
そして早速あちこちひっくり返してお宝を探している老婦人の背後に立つと…。
「ご免ね」
その後頭部には矢が突き立っていた。
そして夜。まだ老婦人が死んだことに誰も気付いていない。
わたしはお坊ちゃまに割り当てられていた寝室をそっと覗きこむと…ダンマーの女が一人待ちぼうけしていた。
まだ扉が開いた事に気付いてもおらず、こちらに背を向けている。
絶好の好機。
あと三人、男ばかり残ったわね。
この三人はお互いを胡散臭く思ってる節があり誰かの名前を使っておびき出す、とかそう言うのは難しそうね。
そう思って戸棚を漁るふりをして皆の様子を見ていると、レッドガードの老人が流石にくたびれたのか寝室へと向かった。
お坊ちゃまも酔っ払いもそれを見て出し抜く好機と思ったのか、一層活発にお宝探しに励みだす。
…
わたしは少し間を置いてから老人の部屋を覗き込むと…やはり疲れたのか寝息を立てていた。
そして翌日。
流石に三人も殺されていては殺人事件が起こっていることに気付いたらしい。
酔っ払いが恐怖のあまり朝から大酒をかっ食らっている。
そして何を思ったのか…急に飾られていた剣を手に取るとお坊ちゃまを斬り捨ててしまった。
「お前だろう!お前がやったんだろ!そうだろ!」
そして執拗に息絶えた亡骸を膾切りにする。
わたしはその一心不乱な様子を眺めながら最後の矢を放つ。
「見事なお手並みですね。ただ五人を殺すだけでなく、貴女の立ち居振る舞いは恐怖の使者そのものでしたよ」
オチーヴァはここまで一気に仕事を片付けたわたしを労うと「秘術」だと言ってわたしにまじないを掛ける。
どうやらわたしの、そう言う類の潜在能力を引き出すおまじないみたいだけど…正直あんまり気持ち良いモノでは無いわね。
マジカがより強くなるとかだったら大歓迎なんだけどね。