今日もアミューゼイから伝言が届く。
何だか最近呼び出しが多いわね。
グレイフォックスとシェイディンハルで落ち合う。
「この計画を進めるにあたってもう一つ必要な物がある…スプリングヒールジャックの靴だ」

スプリングヒールジャックと言うのはもう三百年も前に死んだ有名な盗賊だと言う。
そしてその靴を履いたまま埋葬されてしまったそうな。
その靴を墓暴きして持ってこいと言う。
「調べた限りではスプリングヒールジャックの子孫はインペル家の当主、ジャクベンと言う男だけのようだな」
帝都に住んでいると言うその男をあたることから始めるしかなさそうね。

インペル家と言えばタロス区に豪邸を構える有名な家だ。
わたしは夜を待ち豪邸に忍びこむ。
だがこの家の主は…普通に起きていて生活していた。
忍び込んだわたしと一人の男の目が合う。
♪目と目が…もうこのネタは良いわね。
しかもそれどころじゃない!何とかしないと衛兵を呼ばれてややこしいことになる!
そう思い、取り敢えず逃げようとしたんだけど…。
「うわ!?何だ!?頼む!乱暴だけは…」
ジャクベン 

出会った男はわたしを見るなり怯えて竦み上がってしまい、助けを呼ぶことすらできずにいた。
これなら…いけるか?
わたしは男に近付くとスプリングヒールジャックの事を聞く。
するとこの屋敷の地下に墓地があって、そこに先祖から代々埋葬されていると言う。
「これが地下墓所の鍵だ…頼む、乱暴だけはやめてくれ」
わたしに言われるままにあっさりと墓所の鍵を渡す。

しかし地下に墓地とはねぇ。何だか気持ち悪い話ね。
でもこれなら話は早い。
早速地下に向かい話に聞いた墓地に踏み入る。
…が、その墓地には先客がいた。
吸血鬼。
何でこんな所に!?

…しかし常々不思議なんだけど、この吸血鬼と言うモノは生き血を啜って飢えを凌いでいるはずなんだけど、どう言うわけか墓地に居ることが多い。
死体から血を啜ってる様子も無さそうなんだけど、何で墓地に住み着こうとするのかしらね?
いくら吸血鬼だと言っても死体に囲まれて暮らすのは気が滅入るんじゃないかしら?

それはともかく何とか吸血鬼を退けて墓地の奥へ。
あまり墓暴きとかしたくないんだけど、靴ごと埋葬されたと言うんじゃ仕方が無い。
墓標を確認しながらスプリングヒールジャックの棺桶を探し当てる。
「祟るんならグレイフォックスを祟ってね」
取り敢えず他人に怨念を擦り付けながら棺を開ける…が、靴は埋葬されてない。

情報に間違いがあった?
こんな苦労をして空振りとか勘弁してほしい。
見落としが無いかもう一度棺の中を改めると何やら日記のようなものが残されていた。

それに目を通すと…何これ!?
スプリングヒールジャックは吸血鬼になってしまったらしい。そしてその書き手、つまりスプリングヒールジャックはこの屋敷の主ジャクベン・インペルその人じゃない!
…ってことはこの棺に入ってる死体は一体誰?

困惑するわたしの後ろに生まれる殺気!
「ぐぼあぁぁぁぁぁ!」
大きな怒声を上げて襲い掛かってくるのはさっき上で会ったジャクベン・インペル!
あの弱腰な態度もどこへやら、完全に逆上して襲い掛かってくる!
一体何がどうなってるの!?

わけは全く分からないけど、やるべきことは決まっている。
わたしはジャクベンにありったけの毒矢を打ち込むと動かなくなるのを待つ。
そして彼の履いている靴を見てみると…なんだか踵の所がバネ仕掛けになってるヘンな靴を履いていた。
その名の通り「スプリングヒール」ってことか。

その靴を脱がせてグレイフォックスの所に持ち帰る。
「それでこそ盗賊だ!」
また彼の計画が一歩前進したことになる。
「お前には本当に世話になるな。だが次が最後の仕事になるだろう。危険は大きいが得られるものも相応になるだろう。では準備が整ったら声を掛ける」
そう言うと靴を持って風の様に去ってしまった。
まったく…仮面の呪いを解くつもりらしいけど、一体どこに忍びこもうと言うのかしらね?