ベインリンの”事故死”を無事済ませたわたしは一目散にシェイディンハルを目指した。
人に会いたくなかったので街道を外れ、藪をかき分けて進んでいたんだけど、これがまずかった。
「我は絹紡ぎし者。糸の一引きで解け得る…それが織物の定め」
あろうことかメファーラの祠に出くわしてしまった。
このメファーラ、司るのは…暗殺。
闇の一党とライバルであるモラグ・タンの創立にも関わっていると言われている。
その一方でわたしが所属してしまった闇の一党が崇めている夜母の正体もこのメファーラではないかとも言われてる。
そんな感じの今一番会いたくないデイドラ王に目を付けられてしまった。
まったく自分の運命を呪うわ。本当に。
「ある集落でノルドとダンマーの一族同士が完全な調和の元、暮らしている。だが水面下には諍いの種が埋もれているものよ。両家の家長を殺め、互いの一族に手がかりを残すのだ」
恐らくわたしが闇の一党に関わっていることを知っているのだろう。
その上でこんな話を押し付けてくる。
わたしの暗殺によってノルド一族とダンマー一族が争うように仕向けろと言う。
一体わたしはどこまでドブ泥に塗れれば良いと言うのか。
盗賊ギルド、闇の一党、そしてデイドラ王の手先として手を汚し続けるしかないと言うのか。
どこで何を間違えたのか…もう何がきっかけだったのかも思い出せない。
わたしはもう何度振り仰いだか数え切れない天を見る。
今は夜。天気は快晴。星が綺麗。
…もう空を振り仰ぐのはやめよう。綺麗な星空と自分を比べてしまうと余計惨めになる。
わたしは考えるのを止めるとその指定された集落に進路を変える。
翌朝頃…狼に襲われて迷い込んだように装って集落に入った。
「災難だったな、旅の人。まぁゆっくりと休んだらどうだ」
わたしを狼から守ってくれたのが暗殺目標の一人フロル。ノルド一族の長だった。
「ありがとうございます。ではちょっとお言葉に甘えさせてもらいます」
そう言って宿の一室を借りる。
昼頃になって散歩と称して集落を歩いて回ったり、薬の行商をしていると言うことで助けてくれたお礼に、と薬を分けてあげたりしながら様子を見る。
お互いの一族が相互扶助しあってとても諍いが起こるような雰囲気は無い。
…やっぱりやらないといけないのか。
気分が重くなる。
わたしは夜を待つとこっそりと宿を出る。
昼の内に集落の様子は確認済み。
ノルドの長とダンマーの長の家も。
わたしはまず宿に近かったダンマーの長の家に忍び込む。
ダンマーの長、ニヴァンは完全に寝入っている。…おもむろにナイフを取り出すと…首に一突き。
「…!」
声を上げることもなくニヴァンは息絶える。
その後で家を物色。
…特徴的な、恐らく儀式用の装飾が施されたナイフが見つかる。
それを掴むと今度はフロルの家に忍びこみ…儀式用ナイフに思うさま毒を塗りたくるとこちらも首を一突き。
如何に頑強なノルドでもこれではひとたまりも無い。ナイフはそのまま首に突き立てたままにしておく。
わたしはフロルの持ち物の中からやはり特徴的な…紋章の刻まれた指輪を拝借すると、先ほどのニヴァンの家に戻り事切れたニヴァンにその指輪を握らせる。
あとは…信じて待つだけ。
翌朝…二人の長が亡くなり、それぞれがお互いの長の持ち物を帯びていたとあってノルドとダンマーは険悪になっていた。
そして口論の末…短気を起こしたノルドの一人がダンマーに斬りかかる。
後はなし崩し。
結局ノルドの一族は魔法の力を操るダンマーに敗れ…メファーラの目論見は達成された。
「よくやった。友が殺し合う光景ほど小気味良いものがあろうか?自らが起こした諍いを堪能するが良い」
メファーラは満足そうに哄笑するとわたしに黒塗りの刀を一振り寄越した。
ざっと見るに沈黙の術を生命力吸収の術が込められている。
これで斬れば悲鳴を上げることなく、しかも一方的に相手を斬り殺せることだろう。
まったくメファーラらしいと言えばらしい代物ね。
人に会いたくなかったので街道を外れ、藪をかき分けて進んでいたんだけど、これがまずかった。
「我は絹紡ぎし者。糸の一引きで解け得る…それが織物の定め」
あろうことかメファーラの祠に出くわしてしまった。
このメファーラ、司るのは…暗殺。
闇の一党とライバルであるモラグ・タンの創立にも関わっていると言われている。
その一方でわたしが所属してしまった闇の一党が崇めている夜母の正体もこのメファーラではないかとも言われてる。
そんな感じの今一番会いたくないデイドラ王に目を付けられてしまった。
まったく自分の運命を呪うわ。本当に。
「ある集落でノルドとダンマーの一族同士が完全な調和の元、暮らしている。だが水面下には諍いの種が埋もれているものよ。両家の家長を殺め、互いの一族に手がかりを残すのだ」
恐らくわたしが闇の一党に関わっていることを知っているのだろう。
その上でこんな話を押し付けてくる。
わたしの暗殺によってノルド一族とダンマー一族が争うように仕向けろと言う。
一体わたしはどこまでドブ泥に塗れれば良いと言うのか。
盗賊ギルド、闇の一党、そしてデイドラ王の手先として手を汚し続けるしかないと言うのか。
どこで何を間違えたのか…もう何がきっかけだったのかも思い出せない。
わたしはもう何度振り仰いだか数え切れない天を見る。
今は夜。天気は快晴。星が綺麗。
…もう空を振り仰ぐのはやめよう。綺麗な星空と自分を比べてしまうと余計惨めになる。
わたしは考えるのを止めるとその指定された集落に進路を変える。
翌朝頃…狼に襲われて迷い込んだように装って集落に入った。
「災難だったな、旅の人。まぁゆっくりと休んだらどうだ」
わたしを狼から守ってくれたのが暗殺目標の一人フロル。ノルド一族の長だった。
「ありがとうございます。ではちょっとお言葉に甘えさせてもらいます」
そう言って宿の一室を借りる。
昼頃になって散歩と称して集落を歩いて回ったり、薬の行商をしていると言うことで助けてくれたお礼に、と薬を分けてあげたりしながら様子を見る。
お互いの一族が相互扶助しあってとても諍いが起こるような雰囲気は無い。
…やっぱりやらないといけないのか。
気分が重くなる。
わたしは夜を待つとこっそりと宿を出る。
昼の内に集落の様子は確認済み。
ノルドの長とダンマーの長の家も。
わたしはまず宿に近かったダンマーの長の家に忍び込む。
ダンマーの長、ニヴァンは完全に寝入っている。…おもむろにナイフを取り出すと…首に一突き。
「…!」
声を上げることもなくニヴァンは息絶える。
その後で家を物色。
…特徴的な、恐らく儀式用の装飾が施されたナイフが見つかる。
それを掴むと今度はフロルの家に忍びこみ…儀式用ナイフに思うさま毒を塗りたくるとこちらも首を一突き。
如何に頑強なノルドでもこれではひとたまりも無い。ナイフはそのまま首に突き立てたままにしておく。
わたしはフロルの持ち物の中からやはり特徴的な…紋章の刻まれた指輪を拝借すると、先ほどのニヴァンの家に戻り事切れたニヴァンにその指輪を握らせる。
あとは…信じて待つだけ。
翌朝…二人の長が亡くなり、それぞれがお互いの長の持ち物を帯びていたとあってノルドとダンマーは険悪になっていた。
そして口論の末…短気を起こしたノルドの一人がダンマーに斬りかかる。
後はなし崩し。
結局ノルドの一族は魔法の力を操るダンマーに敗れ…メファーラの目論見は達成された。
「よくやった。友が殺し合う光景ほど小気味良いものがあろうか?自らが起こした諍いを堪能するが良い」

メファーラは満足そうに哄笑するとわたしに黒塗りの刀を一振り寄越した。
ざっと見るに沈黙の術を生命力吸収の術が込められている。
これで斬れば悲鳴を上げることなく、しかも一方的に相手を斬り殺せることだろう。
まったくメファーラらしいと言えばらしい代物ね。