アンヴィルの宿で朝食を採りながら今朝の夢を思い返す。
空飛ぶお城まで出てくるとはねぇ。
古代アイレイドかドゥーマーの技術でも使われてるのかしらね。
今日は夜まで特にやることも無いし、折角初めてきたアンヴィルだ。
少し散歩しながら観光しよう、そう思い宿を出る。
アンヴィルと言えば港町、ならば港を見に行くのがよろしかろう。
一応観光名所としては美の女神ディベラを祭った聖堂なんかも有名だけど、何だか事件があったらしく今は立ち入り禁止になってる。
本来はかなり壮麗な装飾が施されているから一見の価値ありと聞いてるけど、何者かに相当酷く荒らされていてとても見れたものじゃないらしい。
つまり今アンヴィルの見所は港くらいしかないってわけ。
帝都にも波止場区があるけど、やはり湖に面した港と海に面した港では雰囲気が違う。
「へぇ…」
ちょっと見て回ると海の向こうとの交易が盛んなのだろう。何だか見たことも無いような物がちらほらと見受けられる。
そんな港に有って独特の船があることに気付いた。
何と言うか言い知れぬ寒気を伴った…これは霊気ね…一隻の船。
その前でアルトマーのおばさんが呆然と立ち尽くしている。
「あなたも感じるのね…あの霊気を」
そのおばさんが振り向くことも無くわたしに話しかけてくる。
…嫌な、予感。これは間違いない…厄介事の気配!
「まったく何てことなのかしら!家宝の水晶玉が目と鼻の先にあると言うのに!」
ぐるりと振り向き早口に事情を説明してくれるおばさん。
故郷のサマーセット島から家宝を運んでもらった船が荷を下ろす前に何故か幽霊船になってしまったと言う。
船自体は無事航海を終えてアンヴィルの港に停泊したにも拘らず、だ。
つまり到着後に何者かが船員を皆殺しにして、その霊魂を縛り付けたと言うのだ。
「ワタクシだって魔術師の端くれ、水晶玉を取りに一度は船に入ったわ…でも、辿り着けなかった!」
遠い目をして語るおばさん。
「お願い!あなただけなの!船倉にある水晶玉を取ってきて!?」
「ちょっと待ってよ、それって衛兵に頼んだ方が良いんじゃないの?明らかに事件じゃない」
「船員がどうこうって言うのはどうでも良いの!水晶玉よ!あれがどうしても必要なのよ!」
…うん、やっぱりアルトマーだわ。説得しようとしたわたしが馬鹿だった。
同じエルフ族でもやっぱり種族によって気性ってかなり違うのよね。
わたし達ボズマーはちょっと夢見がちな性格。…誰?”ちょっと?(笑)”とか言ってるのは!
このおばさんみたいにアルトマーって言うのはかなり自分勝手、と言うかアルトマーが世界の中心だと信じて疑ってない。
ちなみにダンマーはかなり喧嘩っ早く、短絡的。
…そう言えば知っているだろうか?あのオークも実はエルフ族だと言う事を。
今でこそ「オーク」と呼ばれているけど、本来は「オーシマー」と表現され、れっきとしたエルフ族なのだ。
あまりにエルフ族の身体的特徴から離れすぎてるので、とてもそうは思えないけどね。
何でもデイドラだか何かに大規模な呪いを種族単位で掛けられてしまったが為にあんな姿になってしまったと聞く。
「ねぇちょっと!聞いてらっしゃる!?水晶玉よ!水晶玉!取ってきて下さるんでしょ!?」
それはともかく目の前のおばさんだ。
恐らくわたしが引き受けるまでしつこく付きまとわれるだろうなぁ。
「はぅ…」
わたしは心の中で涙と共に溜息を零すと水晶玉を探しに行くことにした。
折角の観光が台無し…。何でこうなるかな…。
船室の鍵を受け取り重たい気持ちを引き摺りながら船に入る。
「ここは私の船だぁぁぁあああぁぁぁああぁ!」
入るなり目の前に幽霊。先が思いやられるわね。
まぁ呪術師が幽霊にやられてるようじゃ商売あがったりだ。
…それにしてもそこかしこに船員の亡骸が倒れている。
一体この船に何があると言うのだろうか?
と言うかその水晶玉もちゃんとあるのかしら?それが目的なら船員を殺した何者かが持ち去ってるかもしれない。
「に…く…いぃぃぃ…」
「あ…りがと…う…」
「また!殺すのかぁぁああああああああ!」
「…光…が…」
幽霊達は思い思いの感想を口に成仏していく。
しっかし本当に何事なんだろうか?やっぱりちゃんと衛兵に通報した方が良いと思うんだけど。
かくして船倉に水晶玉はあった。
となると水晶玉以上の何かがこの船にはあったのだろうか?考える程に謎の深まる不可解な事件。
単にこの船の乗組員に恨みでもあったのかしら?
…考えるだけ無駄、ね。
わたしは水晶玉を持って船を出る。
「あぁ!ワタクシの水晶玉!ありがとう!本当にありがとう!」
アルトマーのおばさんは大層感激してわたしに一振りのカトラスをくれる。
何でも水晶玉を取りに入った時に船長の遺体から腹いせに掠め取ってきた物だと言う。
…何と言う物を寄越すのか。罰当たりにも程がある。
わたしは剣なんて使わないから、すぐそこの雑貨屋で引き取ってもらおう。
あ、もちろんヘンな霊障とか無い事はちゃんと確認してるからね?
誰かの手に渡っても何も起こらないはず…。
それにしても折角の観光気分が台無しだわね。
わたしは宿に戻るとベッドに身を投げ出し、のんびりと夜を待つことにした。
空飛ぶお城まで出てくるとはねぇ。
古代アイレイドかドゥーマーの技術でも使われてるのかしらね。
今日は夜まで特にやることも無いし、折角初めてきたアンヴィルだ。
少し散歩しながら観光しよう、そう思い宿を出る。
アンヴィルと言えば港町、ならば港を見に行くのがよろしかろう。
一応観光名所としては美の女神ディベラを祭った聖堂なんかも有名だけど、何だか事件があったらしく今は立ち入り禁止になってる。
本来はかなり壮麗な装飾が施されているから一見の価値ありと聞いてるけど、何者かに相当酷く荒らされていてとても見れたものじゃないらしい。
つまり今アンヴィルの見所は港くらいしかないってわけ。
帝都にも波止場区があるけど、やはり湖に面した港と海に面した港では雰囲気が違う。
「へぇ…」
ちょっと見て回ると海の向こうとの交易が盛んなのだろう。何だか見たことも無いような物がちらほらと見受けられる。
そんな港に有って独特の船があることに気付いた。
何と言うか言い知れぬ寒気を伴った…これは霊気ね…一隻の船。
その前でアルトマーのおばさんが呆然と立ち尽くしている。
「あなたも感じるのね…あの霊気を」
そのおばさんが振り向くことも無くわたしに話しかけてくる。
…嫌な、予感。これは間違いない…厄介事の気配!
「まったく何てことなのかしら!家宝の水晶玉が目と鼻の先にあると言うのに!」
ぐるりと振り向き早口に事情を説明してくれるおばさん。
故郷のサマーセット島から家宝を運んでもらった船が荷を下ろす前に何故か幽霊船になってしまったと言う。
船自体は無事航海を終えてアンヴィルの港に停泊したにも拘らず、だ。
つまり到着後に何者かが船員を皆殺しにして、その霊魂を縛り付けたと言うのだ。
「ワタクシだって魔術師の端くれ、水晶玉を取りに一度は船に入ったわ…でも、辿り着けなかった!」
遠い目をして語るおばさん。
「お願い!あなただけなの!船倉にある水晶玉を取ってきて!?」
「ちょっと待ってよ、それって衛兵に頼んだ方が良いんじゃないの?明らかに事件じゃない」
「船員がどうこうって言うのはどうでも良いの!水晶玉よ!あれがどうしても必要なのよ!」
…うん、やっぱりアルトマーだわ。説得しようとしたわたしが馬鹿だった。
同じエルフ族でもやっぱり種族によって気性ってかなり違うのよね。
わたし達ボズマーはちょっと夢見がちな性格。…誰?”ちょっと?(笑)”とか言ってるのは!
このおばさんみたいにアルトマーって言うのはかなり自分勝手、と言うかアルトマーが世界の中心だと信じて疑ってない。
ちなみにダンマーはかなり喧嘩っ早く、短絡的。
…そう言えば知っているだろうか?あのオークも実はエルフ族だと言う事を。
今でこそ「オーク」と呼ばれているけど、本来は「オーシマー」と表現され、れっきとしたエルフ族なのだ。
あまりにエルフ族の身体的特徴から離れすぎてるので、とてもそうは思えないけどね。
何でもデイドラだか何かに大規模な呪いを種族単位で掛けられてしまったが為にあんな姿になってしまったと聞く。
「ねぇちょっと!聞いてらっしゃる!?水晶玉よ!水晶玉!取ってきて下さるんでしょ!?」
それはともかく目の前のおばさんだ。
恐らくわたしが引き受けるまでしつこく付きまとわれるだろうなぁ。
「はぅ…」
わたしは心の中で涙と共に溜息を零すと水晶玉を探しに行くことにした。
折角の観光が台無し…。何でこうなるかな…。
船室の鍵を受け取り重たい気持ちを引き摺りながら船に入る。
「ここは私の船だぁぁぁあああぁぁぁああぁ!」
入るなり目の前に幽霊。先が思いやられるわね。
まぁ呪術師が幽霊にやられてるようじゃ商売あがったりだ。
…それにしてもそこかしこに船員の亡骸が倒れている。
一体この船に何があると言うのだろうか?
と言うかその水晶玉もちゃんとあるのかしら?それが目的なら船員を殺した何者かが持ち去ってるかもしれない。
「に…く…いぃぃぃ…」
「あ…りがと…う…」
「また!殺すのかぁぁああああああああ!」
「…光…が…」
幽霊達は思い思いの感想を口に成仏していく。
しっかし本当に何事なんだろうか?やっぱりちゃんと衛兵に通報した方が良いと思うんだけど。
かくして船倉に水晶玉はあった。

となると水晶玉以上の何かがこの船にはあったのだろうか?考える程に謎の深まる不可解な事件。
単にこの船の乗組員に恨みでもあったのかしら?
…考えるだけ無駄、ね。
わたしは水晶玉を持って船を出る。
「あぁ!ワタクシの水晶玉!ありがとう!本当にありがとう!」
アルトマーのおばさんは大層感激してわたしに一振りのカトラスをくれる。
何でも水晶玉を取りに入った時に船長の遺体から腹いせに掠め取ってきた物だと言う。
…何と言う物を寄越すのか。罰当たりにも程がある。
わたしは剣なんて使わないから、すぐそこの雑貨屋で引き取ってもらおう。
あ、もちろんヘンな霊障とか無い事はちゃんと確認してるからね?
誰かの手に渡っても何も起こらないはず…。
それにしても折角の観光気分が台無しだわね。
わたしは宿に戻るとベッドに身を投げ出し、のんびりと夜を待つことにした。