ノクターナルの一件も無事終わり改めて北はシェイディンハルへ。
レヤウィン~シェイディンハル間はかなりの長旅になるので、毎回お世話になっている宿がある。
川のほとりにあるインペリアルブリッジ。
割と若いダンマーの女性が切り盛りする宿だ。
宿自体はかなり安普請だけど、目の前に流れる川のせせらぎが心地良い。
一泊して旅を再開、いざ出発と言う段で事は起こった。
「もし、魔術師の方とお見受けする」
宿の泊り客の一人…学者風の人に声を掛けられた。
「わたしは薬師だけど、どうかしました?」
呪術師と言うのはシロディールでは偏見を持たれやすいので、表向きは薬師で通している。
「錬金術師の方でしたか。ふむ…まぁ良いでしょう。少しお力を借りたいのです」
何でもこの近くの洞窟で研究をしていたんだけど、怪物に襲われて慌てて逃げてきたんだそうな。
逃げるのはまぁ良かったんだけど、その際に研究記録を紛失してしまったらしく、それを探してきてほしいと言う。
「研究って何か面白いモノでも見つかったの?」
「それはもう!天然のウェルキンド石ですよ!」
ウェルキンド石の天然物…!
あのアイレイド遺跡で青く輝くマジカを凝縮した石の天然物があると言うの?
太古の時代、アイレイドはそれを精製する技術を持っていたんだけど、その技術は失われて久しい。
技術もさることながら、ウェルキンド原石自体も希少なんてレベルを遥かに超えて、現存すら疑わしいと思われている。
それが見つかったと?
…見てみたいかも。
でも腑に落ちないことが一点。
何で魔術師にそれを頼むのか?
同業者に頼もうものなら横取りされるかもしれないのに。
「アレがそう簡単に扱える代物じゃないのは、恐らく貴女も見れば分かりますよ。それより無知な冒険者なぞに頼んで叩き割られることを危惧するべきですな」
なるほど現物を見ないと何とも言えないけど、知識のある人なら無茶な扱いはしないと踏んでるのか。
ともかく、そんな珍しい物を見ない手は無い。
記録もその原石の辺りにあるはずだと言う学者の言葉を信じて洞窟に向かうことにした。
宿を出て川に沿って西へ。
そろそろニベン湾が見えてこようかと言う辺りにその洞窟はあった。
中は…かなりの怪物が住み着いていた。
あの学者、良くこんなところに入って無事だったわね。
トロールにスプリガン、ミノタウロスがそこかしこをうろうろしている。それにウィスプまで飛んでる。
しかも結構広い。
原石があると言う最奥部まで来るころにはへとへとになっていた。
その最奥部にあった原石は…。
「…凄い」
この一言に尽きる。
アイレイド遺跡で見かけるウェルキンド石は淡い青色のほのかな輝きでしかないけど、原石は物凄いマジカの奔流が輝きとなって溢れ出ている。
これは迂闊に近寄るのも危ない。
ヘンな刺激でも与えたらマジカが弾けて辺り一面吹き飛んでしまいそう。
なるほど…これは魔術師では手が出せないわね。
知らない人が見たら宝石と思ってつるはしでも振り下ろしそうだけど。
ま、良いもの見れたと言うことで今回は良しとしておきますか。
わたしは学者が設営しただろう簡易の研究施設からそれと思しきノートを拾い上げる。
ついでだから見せてもらおうかな。見ちゃいけないとか言われてないし。
………
何…ですって?
学者のノートには驚くべきことが記されていた。
この原石はアイレイド時代に行われた実験中の跡地のようなもので、まだウェルキンド石としては出来損ないと言う段階だと言うのだ。
このマジカ量で出来損ない…!?
その実験とやらが完成していたらどんなものが出来ていたのか、想像もつかない。
スケールの大きさに呆れながら洞窟を出れば時はもう夜。
…流石に疲れたわ。
宿に戻るのは明日にして、すぐそこに見える聖堂で休ませてもらおうかな…と思ったんだけど、当てが外れた。
「ご免下さい」
「みー…たー…なー…」
鬼の様な形相で振り向いたのは死霊術師の一団!
辺りには死体が散らばり、壁は血に塗れて…もはや聖堂と呼ぶことは出来ない程汚されていた。
しかも丁度何かの儀式をやっていたらしく。
「これを見られた以上生かしては返せんなぁ!お前も我らの贄となれ!」
襲いかかってきた。
はぁ…疲れてるのに、何でこうなるかなぁ。
別段ここで決着を着けないといけない理由も無いので聖堂を飛び出すと一目散に逃げる。
そのまま夜の林に紛れ込む。
「くそ…どこに行った!?」
死霊術師たちは森林のプロであるボズマーなわたしを見付けることは出来ず、舌打ちをしながら引き上げて行った。
結局休むことも出来ず、そのまま宿に帰ることに。
「素晴らしい!実に素晴らしい!」
学者は諸手を挙げて大喜び。
お礼だと言って幾つか霊薬をくれたんだけど…何と言うか実用性の無いしょうもない薬だった。
売っても大したお金になりそうもないわね。
まぁ珍しい物も見れたし、それで良しとするか。
レヤウィン~シェイディンハル間はかなりの長旅になるので、毎回お世話になっている宿がある。
川のほとりにあるインペリアルブリッジ。
割と若いダンマーの女性が切り盛りする宿だ。
宿自体はかなり安普請だけど、目の前に流れる川のせせらぎが心地良い。
一泊して旅を再開、いざ出発と言う段で事は起こった。
「もし、魔術師の方とお見受けする」
宿の泊り客の一人…学者風の人に声を掛けられた。
「わたしは薬師だけど、どうかしました?」
呪術師と言うのはシロディールでは偏見を持たれやすいので、表向きは薬師で通している。
「錬金術師の方でしたか。ふむ…まぁ良いでしょう。少しお力を借りたいのです」
何でもこの近くの洞窟で研究をしていたんだけど、怪物に襲われて慌てて逃げてきたんだそうな。
逃げるのはまぁ良かったんだけど、その際に研究記録を紛失してしまったらしく、それを探してきてほしいと言う。
「研究って何か面白いモノでも見つかったの?」
「それはもう!天然のウェルキンド石ですよ!」
ウェルキンド石の天然物…!
あのアイレイド遺跡で青く輝くマジカを凝縮した石の天然物があると言うの?
太古の時代、アイレイドはそれを精製する技術を持っていたんだけど、その技術は失われて久しい。
技術もさることながら、ウェルキンド原石自体も希少なんてレベルを遥かに超えて、現存すら疑わしいと思われている。
それが見つかったと?
…見てみたいかも。
でも腑に落ちないことが一点。
何で魔術師にそれを頼むのか?
同業者に頼もうものなら横取りされるかもしれないのに。
「アレがそう簡単に扱える代物じゃないのは、恐らく貴女も見れば分かりますよ。それより無知な冒険者なぞに頼んで叩き割られることを危惧するべきですな」
なるほど現物を見ないと何とも言えないけど、知識のある人なら無茶な扱いはしないと踏んでるのか。
ともかく、そんな珍しい物を見ない手は無い。
記録もその原石の辺りにあるはずだと言う学者の言葉を信じて洞窟に向かうことにした。
宿を出て川に沿って西へ。
そろそろニベン湾が見えてこようかと言う辺りにその洞窟はあった。
中は…かなりの怪物が住み着いていた。
あの学者、良くこんなところに入って無事だったわね。
トロールにスプリガン、ミノタウロスがそこかしこをうろうろしている。それにウィスプまで飛んでる。
しかも結構広い。
原石があると言う最奥部まで来るころにはへとへとになっていた。
その最奥部にあった原石は…。

「…凄い」
この一言に尽きる。
アイレイド遺跡で見かけるウェルキンド石は淡い青色のほのかな輝きでしかないけど、原石は物凄いマジカの奔流が輝きとなって溢れ出ている。
これは迂闊に近寄るのも危ない。
ヘンな刺激でも与えたらマジカが弾けて辺り一面吹き飛んでしまいそう。
なるほど…これは魔術師では手が出せないわね。
知らない人が見たら宝石と思ってつるはしでも振り下ろしそうだけど。
ま、良いもの見れたと言うことで今回は良しとしておきますか。
わたしは学者が設営しただろう簡易の研究施設からそれと思しきノートを拾い上げる。
ついでだから見せてもらおうかな。見ちゃいけないとか言われてないし。
………
何…ですって?
学者のノートには驚くべきことが記されていた。
この原石はアイレイド時代に行われた実験中の跡地のようなもので、まだウェルキンド石としては出来損ないと言う段階だと言うのだ。
このマジカ量で出来損ない…!?
その実験とやらが完成していたらどんなものが出来ていたのか、想像もつかない。
スケールの大きさに呆れながら洞窟を出れば時はもう夜。
…流石に疲れたわ。
宿に戻るのは明日にして、すぐそこに見える聖堂で休ませてもらおうかな…と思ったんだけど、当てが外れた。
「ご免下さい」
「みー…たー…なー…」
鬼の様な形相で振り向いたのは死霊術師の一団!
辺りには死体が散らばり、壁は血に塗れて…もはや聖堂と呼ぶことは出来ない程汚されていた。
しかも丁度何かの儀式をやっていたらしく。
「これを見られた以上生かしては返せんなぁ!お前も我らの贄となれ!」
襲いかかってきた。
はぁ…疲れてるのに、何でこうなるかなぁ。
別段ここで決着を着けないといけない理由も無いので聖堂を飛び出すと一目散に逃げる。
そのまま夜の林に紛れ込む。
「くそ…どこに行った!?」
死霊術師たちは森林のプロであるボズマーなわたしを見付けることは出来ず、舌打ちをしながら引き上げて行った。
結局休むことも出来ず、そのまま宿に帰ることに。
「素晴らしい!実に素晴らしい!」
学者は諸手を挙げて大喜び。
お礼だと言って幾つか霊薬をくれたんだけど…何と言うか実用性の無いしょうもない薬だった。
売っても大したお金になりそうもないわね。
まぁ珍しい物も見れたし、それで良しとするか。