「待たれよそこの旅人」
レヤウィンから北上する街道沿いでのこと。
わたしは道端でたむろしている連中に呼び止められた。
…ノクターナルの信者だ。
普通デイドラ信仰の祠は人里離れたところに造られ、ひっそりと信仰を深めているのだけど、どう言うわけかこのノクターナル信者は街道から見えるような位置に祠を建てている。
「…何か用?」
そんな連中から声を掛けられたんだから警戒もする。
「うむ、どうもそなたはノクターナル様に召喚されたのかもしれない。ノクターナル様がそなたに使命を与えようとここに導いたのだろう」
召喚?わたしはただ通りかかっただけなんだけど…。
適当に言い訳して先に進もうとしたんだけど、遅かった。
「我が名はノクターナル」
わたしの意識に直接話しかけてくる。
あぁぁ…関わり合いたくなかったのに…。
その後もノクターナルは勝手に話を進め、レヤウィン在住のアルゴニアン二人組に”目”を盗まれたから取り返してこいと言い切った。
相手がただの人間なら知らん顔して通り過ぎても良いんだけど、今回は相手が相手だ。
おかしな事をして祟られても困る。
…何でこうなるかなぁ。
わたしは溜息と共にレヤウィンへと戻らざるを得なくなった。
しかしアルゴニアン二人組、ねぇ。
ここはアルゴニアンとカジートがかなり住んでいる。
探すとなると手間がかかるかもしれない。
とは言え、ある程度この街で交流もある。アルゴニアン二人組と言うか夫婦も何組か知っている。
まぁ単に盗賊仲間みたいな集まりかもしれないんだけど。
アルゴニアンの事はアルゴニアンに聞くのが良いだろう。聞いてみれば何か道が開けるかもしれない。
まずは狩人としてこの辺りの事に詳しいウィーバム=ナーの所に行ってみるか。
「ねぇ、トロールが食べたりしたらどうするの?」
訪ねてみると何か奥さんと話している最中らしい。
「トロールは水が苦手だからな。満ち潮の洞窟にある限り”目”は安全だ」
今、”目”と言った?
…何と言うことか。いきなり当たりだったらしい。
わたしはそのまま家を後にする。
満ち潮の洞窟と言えばあそこしかない。
海岸に面した洞穴。
何故かトロールがやたらと住み着いている。
そう言えば近くのアイレイド遺跡にもやたらとトロールが住み着いてるのよねぇ。
この辺りの気候ってトロールに合ってるのかしら?
と言うことでやってきた洞穴。
海水が時折吹き込むせいで、洞穴の中はあちこち水浸しになっている。
トロールに見付からないよう、敢えて水深の深い場所を泳いで進む。
あの夫婦の会話からするに”目”は水中に沈めてあるのだろう…。
深そうな場所を見繕っては潜ってみる。
…あれね。
明らかに異質な妖気を振りまいている宝珠がある。
これじゃなかったらむしろ驚きだ。
わたしは妖気の玉を祠に持ち帰った。
「我が目は戻り、闇を再び見通せるようになった。盗人達は嘲笑に値する痛手を被ったな」
ノクターナルは哄笑するとわたしに魔法のピッキングロッドをくれた。
へぇ?これがあの伝承に聞く不壊のピックか。
これはあらゆる扉を開くことが出来ると言う。しかもその”扉”と言うのは文字通りの扉だけでなく、人間の奥底に眠る素質を封じている扉さえも開いてしまうらしい。
なるほどねぇ…こう言うご褒美があると言うならデイドラ信仰が絶えることなく続くのも頷けるわね。
わたしは無事ノクターナルとの取引を済ませ、北はシェイディンハルへの旅路に戻った。
レヤウィンから北上する街道沿いでのこと。
わたしは道端でたむろしている連中に呼び止められた。
…ノクターナルの信者だ。
普通デイドラ信仰の祠は人里離れたところに造られ、ひっそりと信仰を深めているのだけど、どう言うわけかこのノクターナル信者は街道から見えるような位置に祠を建てている。

「…何か用?」
そんな連中から声を掛けられたんだから警戒もする。
「うむ、どうもそなたはノクターナル様に召喚されたのかもしれない。ノクターナル様がそなたに使命を与えようとここに導いたのだろう」
召喚?わたしはただ通りかかっただけなんだけど…。
適当に言い訳して先に進もうとしたんだけど、遅かった。
「我が名はノクターナル」
わたしの意識に直接話しかけてくる。
あぁぁ…関わり合いたくなかったのに…。
その後もノクターナルは勝手に話を進め、レヤウィン在住のアルゴニアン二人組に”目”を盗まれたから取り返してこいと言い切った。
相手がただの人間なら知らん顔して通り過ぎても良いんだけど、今回は相手が相手だ。
おかしな事をして祟られても困る。
…何でこうなるかなぁ。
わたしは溜息と共にレヤウィンへと戻らざるを得なくなった。
しかしアルゴニアン二人組、ねぇ。
ここはアルゴニアンとカジートがかなり住んでいる。
探すとなると手間がかかるかもしれない。
とは言え、ある程度この街で交流もある。アルゴニアン二人組と言うか夫婦も何組か知っている。
まぁ単に盗賊仲間みたいな集まりかもしれないんだけど。
アルゴニアンの事はアルゴニアンに聞くのが良いだろう。聞いてみれば何か道が開けるかもしれない。
まずは狩人としてこの辺りの事に詳しいウィーバム=ナーの所に行ってみるか。
「ねぇ、トロールが食べたりしたらどうするの?」
訪ねてみると何か奥さんと話している最中らしい。
「トロールは水が苦手だからな。満ち潮の洞窟にある限り”目”は安全だ」
今、”目”と言った?
…何と言うことか。いきなり当たりだったらしい。
わたしはそのまま家を後にする。
満ち潮の洞窟と言えばあそこしかない。
海岸に面した洞穴。
何故かトロールがやたらと住み着いている。
そう言えば近くのアイレイド遺跡にもやたらとトロールが住み着いてるのよねぇ。
この辺りの気候ってトロールに合ってるのかしら?
と言うことでやってきた洞穴。
海水が時折吹き込むせいで、洞穴の中はあちこち水浸しになっている。
トロールに見付からないよう、敢えて水深の深い場所を泳いで進む。
あの夫婦の会話からするに”目”は水中に沈めてあるのだろう…。
深そうな場所を見繕っては潜ってみる。
…あれね。

明らかに異質な妖気を振りまいている宝珠がある。
これじゃなかったらむしろ驚きだ。
わたしは妖気の玉を祠に持ち帰った。
「我が目は戻り、闇を再び見通せるようになった。盗人達は嘲笑に値する痛手を被ったな」
ノクターナルは哄笑するとわたしに魔法のピッキングロッドをくれた。
へぇ?これがあの伝承に聞く不壊のピックか。
これはあらゆる扉を開くことが出来ると言う。しかもその”扉”と言うのは文字通りの扉だけでなく、人間の奥底に眠る素質を封じている扉さえも開いてしまうらしい。
なるほどねぇ…こう言うご褒美があると言うならデイドラ信仰が絶えることなく続くのも頷けるわね。
わたしは無事ノクターナルとの取引を済ませ、北はシェイディンハルへの旅路に戻った。